適格組織再編とは、一定の適格要件を満たした上で実施される組織再編を指します。
この手法を利用すれば、資産譲渡に伴う損失や利益を先延ばしにすることが可能となります。
そのため、生じるコストを削減するために重宝される手法です。
適格組織再編の解説
組織再編とは、会社法に則って会社組織の変更を行う法律行為そのものを指します。
適格組織再編とは、組織再編を実施する際の税金に関する制度を活用して実施された組織再編のことです。
資産の譲渡にかかる損益を繰り延べすることが可能となります。
つまり、法人税が節税できるというメリットを享受できるのです。
ただし、対象の組織再編が適格組織再編と認められるためにはいくつもの要件が定められています。
例えば、移転する資産にかかる法人支配が再編成後も継続していることが求められます。
さらに、事業の関連性やその規模、国内・国際再編であるかどうかなど、様々な要件を満たさなくてはなりません。
適格要件を満たすためには、手法やプロセスの入念な検討と実行が必須なのです。
要件を満たしていない場合は非適格組織再編と呼ばれます。
通常通りコストがかかりますが、税務上の原則としてはこちらが通常と見なされます。
税制適格と非税制適格の違い
税制適格は資産の引継ぎに際し簿価を利用します。
そのため、譲渡損益が発生しません。
それに対し、非税制適格では時価で引き継ぐため、譲渡損益が生じます。
この点が両者の最大の違いです。
また、グループ企業内での再編か、グループ企業外の企業との再編かによっても適格要件が異なります。
適格組織再編に関するポイント
含み損益に着目する
含み損益を出すか出さないかが再編手法を考える上でのポイントとなります。
ただし、100パーセントグループ内で実施される組織再編においては、
税制がどちらかに関わらず含み、損益が繰り延べられることには注意が必要です。
要点のおさらい
- 適格組織再編とは、一定の条件を満たした上で組織再編税制を活用して実施された組織再編を指します。
- 税制適格は簿価で資産の引継ぎを行いますが、非税制適格は時価を活用するため、譲渡に伴う損益が発生します。
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100パーセントグループ内で実施される組織再編においては、含み損益が繰り延べられることには留意すべきです。