EVAとはEconomic Value Addedの略で、経済的付加価値と訳されます。
企業が一定期間にどれだけの収益を生み出したかを測るための指標です。
EVAがプラスの場合は、経営にかかるコスト以上に稼ぐ力があることを指し、マイナスの場合はコストを収益で賄えていないことを表します。
EVAの解説
EVAは、米国のコンサルティング会社であるスターンスチュワート社が商標登録を行っている指標です。
企業が重要視している純利益では、株主に対するコストが判断できないという指摘を受けて同社が開発しました。
EVAを求めるには、企業活動に対して得られる利益から、資本コストを差し引きます。
EVAは資本コストに基づいて考えられているのが特徴で、会計上の指標であるROEやROAに比べて客観性が高いことがメリットとして挙げられます。
また、年度ごとにその企業が実質的に生み出した額を視覚的に捉えることが可能です。
EVAの計算方法
EVAは以下の式で求められます。EVA=NOPAT(税引き後営業利益)-(有利子負債+株主資本)×WACC(加重平均資本コスト)
NOPATとは、営業利益から税金を引いたもので、会社の本来の稼ぐ力と言えます。
有利子負債は借金をしている額、株主資本は株主から得ている資金のことを指します。
WACCとは、資金を1円調達するのにどれだけのコストがかかるかを示す値です。
例えば、A社のNOPATが1,000万円、有利子負債が100万円、株主資本が50万円、WACCが5%と仮定します。
この場合のEVAは1,000万円-(100万円+50万円)×5%=1,000万円-150万円×5=250万となります。
EVAの注意点
短期志向に陥りやすい
EVAは単期ごとの指標です。
そのため、EVAだけを評価基準として取り入れると、長期的な視点で利益が上がるような投資を行うことが難しくなります。
そのような投資はコストを上げ、EVAを下げるからです。
実際は、EVAと長期的な視点を組み合わせて利用している企業が多いようです。
事業部別に資本コストを算定するのが難しい
扱う事業が幅広い企業の場合は、事業部別の資本コストを算出しづらいというデメリットがあります。
事業部によって、事業のリスクや資本コストは異なります。
資本コストは株価の変動を考慮して算定されますが、株価は会社全体の値です。
この結果、期待される収益率が高い事業ばかりが選ばれる可能性があります。
要点のおさらい
- EVAは経済的付加価値のことで、企業が資本コストに対してどれだけの利益を生み出したかを示す指標です。
- EVAは、NOPATから有利子負債と株主資本を足してWACCを掛けた値を引いて求めます。
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短期志向に陥りやすい、事業部別の資本コストが算出しづらいというデメリットもあります。