EBOとは、Employee Buy-Outの頭文字を取った言葉です。
M&Aの一種で、従業員が所属している企業を買収することを指します。
一部の事業や部門を独立させたり子会社化したりする際や、従業員に事業を継承させるための手法として用いられます。
中小企業において、後継者不足に対応するための方法として近年よく利用されています。
EBOの解説
従業員がその企業の株式を取得し、事業を買い取ったり、経営権を獲得したりするやり方です。
外部に売却するよりも、内情を把握しており、理念を引き継いでくれる従業員に経営を任せたいと考える経営者もいます。
また、株主に対して、企業の経営方針が引き継がれることをアピールできる側面もあるのです。
スムーズな引き継ぎを行えることは利点と言えますが、他社とのシナジーが生まれないため、劇的な改善を図るのが難しいという欠点も挙げられます。
最近では、労働人口の減少に伴って後継者不足が深刻になっており、特に中小企業では従業員に事業を承継させるケースが多く見られます。
規模が大きな企業では事業の一部を独立させ子会社化する事例が一般的です。
ところが、一人の従業員が事業を買い取るには資金が不足するのが普通です。
この場合は、投資ファンドや金融機関といった第三者が資金を出資することもあります。
EBOの注意点
企業の財務状況が良好でなければ実施が難しい
銀行から融資を受けるためには、財政状態が良好でなくてはなりません。
自己資本比率で言えば、40パーセント以上あるのが理想です。
ところがEBOを実施する代表的な目的の一つとして、企業再生が挙げられます。
経営破綻の危機を解決するために実施するにも関わらず財務状況が悪ければお金を借りられず実施できないという事態も考えられます。
資金繰りの方法を考えておく必要があります。
EBOとMBOの違い
MBOとは、Management Buy-Outの頭文字を取った言葉です。
経営陣による企業の買収を指します。
同じく事業の継承を目的として実施されるM&Aを実施する手法の一つですが、比較的規模が大きい企業によって利用されることが多いです。
M&Aを行うのが経営者か、従業員かという点がEBOとの違いです。
要点のおさらい
- EBOとは、事業を承継することや事業を独立させることを目的に、従業員が自分の所属する企業を買収する手法を指します。
- 財務状況が悪ければ融資を受けられない可能性があるため、資金繰りの方法には工夫が求められるかもしれません。
- M&Aを実施する主体が経営者であればMBO、従業員であればEBOと呼ばれます。