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M&Aコラム

COLUMN

M&A(エムアンドエー)とは│簡単にわかりやすくメリットと事例を解説!【図解】

「M&A」(企業の合併・買収)についての話題がニュースを賑わせています。
なぜ今、これほどまでにM&Aに注目が高まっているのでしょうか?
そこで、M&Aの概要や動向のほか、手法、歴史的な背景、将来的な展望までをわかりやすく説明します。

そもそもM&Aとは何か?M&Aの目的

M&A(エムアンドエー)とは、英語の「Mergers and Acquisitions」(合併と買収)の頭文字を取った略語で、「企業の合併・買収」を指します。

企業の株式や、営んでいる事業を他社へ譲渡することで、売り手企業のみならず買い手企業も様々なメリットが得られるため、近年は中小企業間でのM&A件数も増加し続けています。

主な目的としては、以下のように買い手目線と売り手目線で2つに大別されます。

  • 買い手企業のメリット:オープンイノベーションの創出や新規事業へ低リスクで参入できること
  • 売り手企業のメリット:創業者利益の確保やサービスのさらなるグロース

M&Aはどのように行われる?

M&Aを株式や事業を売買するだけのシンプルな手続きであると捉えている方もいらっしゃいますが、実際は、M&Aを実施する企業の業種や規模、目的によって最適な手法は異なります。こうした手法のことを「スキーム」と呼び、M&Aを実施する際は多種多様なスキームの中から最適な手法が選ばれます。

基本的にM&Aで用いられる手法は「合併」と「買収」の2つの方法に大別され、その上で企業の状況に合わせて細かなスキームが設定されていきます。

  • 合併:2つ以上の企業を1社に統合すること
  • 買収:一部または全部の株式を別の企業が買い取って、経営権を取得すること


また、買収は譲受企業(買い手)のスタンスによって、さらに2つに大別されます。
トップ面談や交渉を経て、双方が合意の上で行われる「友好的買収」。それに対して、買収される側の意向に関係なく、譲受企業が市場から株式を取得しM&Aを強行する「敵対的買収」という手段も存在するのです。

M&Aを経営戦略だと考えることが一般化

M&Aについて概要を理解したところで、より詳しく今のM&A市場やM&Aに対して経営者が抱いている意識について見ていきましょう。結論から申し上げると、昨今はM&Aが「経営戦略」として捉えられるようになり、過去には顕著だった「ネガティブなもの」というイメージは払拭されつつあると言えます。

M&Aに対するネガティブなイメージは過去のもの

もともと日本では、欧米に比べてM&Aを行う文化が浸透していませんでした。そのため、一般的な経営戦略としても受け入れられておらず、企業を売却することや、買収されることに対してネガティブなイメージが先行していました。

以下の図は、商工総合研究所の発表内で紹介されている、中小企業基盤整備機構が実施したアンケートの結果を示したものです。本アンケートでは、中小企業を対象に「M&Aによる事業売却へ抵抗感があるか否か」を尋ねました。

結果として、有効な回答を行った中小企業のうち約半数近くを占める44%の企業が抵抗感を持っていると答えています。


引用:中小企業とM&A│商工総合研究所

もともと中小企業が国内企業の99%以上を占めているわが国では、M&Aが文化として定着しておらず、結果的にM&Aに対する知識を得る必要もありませんでした。そのため、今でも中小企業の経営者に対してM&Aの知識を周知する取り組みが充実していません。

M&Aに対する意識は変わってきている

M&Aに対する正しい知識が手に入らないため、「企業を手放すこと」や「従業員の雇用が維持されるのか」といったリスクにばかり注目が集まっていましたが、これらのリスクはしっかりと手順を踏みながらM&Aに取り組めば解消できるのです。

下図は、「事業承継に係る親族外承継に関する研究~親族外承継と事業承継に係るM&Aの実態~(2008.3)」によって明らかになったデータで、「M&Aを決意した要因」についての回答率を表しています。


引用:中小企業とM&A│商工総合研究所

従業員の確保を筆頭に、買い手企業となる譲渡先への信頼感、社名が残せることなどが理由として挙げられていました。これらは先述した「敵対的買収」では果たせないかもしれませんが、合意の上で進める「友好的買収」であれば、交渉やトップ面談のフェーズですり合わせを行えば叶えられる事柄です。

つまり、M&Aの実態が不透明であるがゆえに、「敵対的買収と友好的買収を混同してネガティブなイメージを抱いてしまっている経営者の方が多い」もしくは「友好的買収の交渉やトップ面談でこれらの要望を通せると知らない経営者の方が多い」と考えられます。その結果、M&Aに対するもやもやとしたネガティブイメージだけが残り、わが国のM&A市場が未発達だった、と言えるでしょう。

しかし2020年には、こうした状況を改善すべく、行政から初めてM&Aに関するガイドライン「中小M&Aガイドライン」が提供されました。他にも、官民が連携しながらM&Aに関する情報を提供したり、M&Aに関する相談ができる窓口を全国に設置したりと、中小企業のM&Aを促進するための働きかけが増加しています。

こうした正しい知識の周知によって、近年はポジティブなイメージを持ってM&Aに取り組もうとする経営者の方が増加しています。

後継者不在問題

なぜ近年になってM&Aが注目されているのか、という疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか。その背景には、わが国を覆う深刻な「後継者問題」が影を落としています。

経済産業省が発表した試算によると、後継者の不在を理由に廃業を予定している中小企業が約127万社にも上っており、この状況が2025年までに解決されなかった場合、22兆円のGDPと650万人もの雇用が失われると言われているのです。また、127万社というのは、国内の中小企業の1/3を占めるほどの大きな数字です。

こうした、中小企業が後継者のいない場合に取りうる選択肢は、大きく3つに分けられます。

廃業

オーナー経営者が自分の代限りで廃業をします。
しかし、廃業すると従業員が失業することになるため、多くの経営者は積極的に選択したくない方法でしょう。

上場

上場によって新たな経営者を迎え、事業を続けます。
とはいえ、中小規模の企業が単独で上場基準をクリアするのは現実的ではありません。

複数企業がいっしょにまとまることで規模を大きくして上場する「ロールアップIPO」という手法も注目されていますが、実現するまでには時間がかかります。

M&A

M&Aによる事業承継は、社員の雇用を維持しながら、取引先や顧客などへの影響も抑えつつ、円滑に事業を継続できる方法として、採用されることが多くなっています。
そのため、官民が連携して後継者不在の中小企業や小規模事業者をサポートすべく、様々な施策を打ち出しています。

より詳しい記事はこちら
改正・事業承継税制でメリット拡大!要件をわかりやすく解説
事業承継やM&Aで活用できる事業承継補助金丨採択率や申請手順、使い方まで解説

その甲斐もあってか、事業承継を目的としたM&Aの件数は増加しています。


引用:中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題│中小企業庁

上図を見てみると分かるように、事業承継を目的としたM&Aの件数は、2012年には184件に留まっていました。しかし、事業承継税制や経営承継円滑化法の整備などが進んだ2018年には、2012年の3倍にも及ぶ544件のM&Aが実施されています。

このような状況を受けて、M&Aを支援するM&A事業者も右肩上がりに増加しています。



引用:中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題│中小企業庁

今後も、様々な企業がM&A仲介事業やプラットフォーム事業に進出したり、同業界で創業したりといった流れが強まる見込みで、M&A市場はますます盛り上がっていくと予想されます。

中小企業の後継者難を解消するM&A

それでは、後継者問題とM&Aの関係性についても見ていきましょう。

従来は「親族内承継」と呼ばれる手法によって後継者を育成し、次世代の代表者として擁立するのが主流でした。文字通り、企業の創業者や代表者の親族の中から後継者を見つけ出して後継者教育を施し、事業承継を果たすという手法です。

しかし、少子化や職業選択の幅が広がったことが大きな要因となって、親族内承継だけでは後継者が見つけられない企業が増加し、約127万社もの企業が後継者不在の状況に置かれていました。そこで注目されるようになったのが、事業承継の手段としてのM&Aです。

昨今は事業承継型M&Aとも呼ばれますが、第三者に当たる譲受企業や個人の買い手に株式を譲渡し、M&Aのスキームを活用しながら事業承継を果たすケースが増加しています。

こうした事業承継を目的としたM&Aは、これからもますます増加していくと考えられているのです。

成長戦略型のM&A

先述したように、M&Aは経営戦略としても注目を集めるようになりました。もともとM&Aは米国のようにオープンイノベーションの創出を強みとする経済大国で盛んに行われていました。

ところが、わが国ではM&Aが一般的な経営戦略であるとは考えられておらず、企業は他社を取り込むのではなく、自社内の研究開発に力を入れて独自の成長を遂げることで競争に打ち勝ってきました。

近年は競争もグローバル化し、自社内での研究開発だけでは打ち勝てない企業も増加しています。結果として、中小企業が急速に成長するための手段として、スタートアップ企業をM&Aによって獲得したり、異業種の企業を獲得してシナジー効果を創出したりといった経営戦略が用いられるようになりました。
中小企業にとってM&Aは、鈍化せずに成長速度を加速させるために有効な手段と捉えられるようになっており、今後も成長戦略としてM&Aを選ぶ企業は増加していくでしょう。

選択と集中

先述の通り現代のビジネス環境は、経済のグローバル化によって企業は世界的な競争にさらされています。
そのため、それぞれの企業にとって核となる事業や、継続して育てていくべき事業を明確にするとともに、本来は必要がない事業などは区分けしておくことが求められます。

そこで、限られた経営資源を必要な事業に配分したり、不必要な事業は整理したりすることになります。
つまり、「選択と集中」です。

不要だと判断した事業や会社がある場合には、そこだけを他社に譲渡し、その売却益をさらに核となる事業に投下することができるようになります。

また、M&Aによって他の企業から必要な機能や事業を手に入れられれば、スピード感を持って効率的にビジネスを拡大することができます。

企業は、利益の出ていない事業については対策を立てる必要があります。
その1つの方法として考えられるのが、対象となる事業を売却するなどして、経営から切り離すことです。

M&Aは、他社を買収した企業の価値が高まることが注目されがちですが、一方では事業を売却した企業が経営を健全化し価値を高めることにもなるのです。

近年の例では、IBMが中国のレノボにパソコンやサーバーの事業を売却したことが象徴的です。
たとえ利益が出ていなくても、企業にとっては顔のような事業であれば判断に迷うところです。
しかし、大手企業でも、思い切った決断をすることがあるという良い事例となりました。

一方でレノボは、国際的な有名企業の事業を買収することで世界的に知名度を上げ、ブランド力を高めることに成功しました。
また、かつて日本国内でPCの圧倒的なシェアを誇っていたNECは、レノボと合弁企業を設立するM&Aによって、自社ブランド製品を残しつつ、事業を切り離すことができました。
レノボは合弁企業が引き継いだ日本国内の工場を活かして、国内生産というブランド力のあるPCを手掛けられるようになり、互いにシナジー効果が発揮された事例となっています。

中小企業のM&Aでは?

中小企業のM&Aでは、「株式譲渡」や「事業譲渡」という手法が用いられるのが一般的です。また、M&Aによる譲渡価格を算出するために、企業価値算定(バリュエーション)という手続きが必要になります。

ここからは、中小企業がM&Aに取り組む際の具体的な手続きについて、すこし深く見ていきましょう。

M&Aにおいて主流となる手法が「株式譲渡」と「事業譲渡」です。

  • 株式譲渡:企業をそのまま存続させたり、創業者の手元に利益を残すことができる
  • 事業譲渡:リソースの選択と集中や、不採算事業からの撤退に活用できる

株式譲渡

株式譲渡は、株式を譲渡(売買)することで経営権を移動させる方法です。会社法に準じると、発行済株式のうち半分以上、つまり51%の株式を保有していれば、実質的な経営権を獲得できます。中小企業が株式譲渡によって行うM&Aの多くは、売り手企業が買い手企業に対して発行済株式の100%を譲渡し、完全な経営権の委譲を行っています。

株式譲渡を検討する上で気を付けなければならないのが、簿外債務の存在や損害賠償請求を受けそう、といった「見えないリスク」です。株式のやりとりだけでは判明しない経営上のリスクをどこまで可視化するか、というのはM&Aを成功させるうえでは欠かせない命題でもあります。

こうしたリスク排除のためにも、M&Aの手続きの中には必ず「DD(デューデリジェンス)」という作業が含まれます。中小企業診断士など、企業分析の専門家が売り手企業の分析を行い、隠れたリスクがないか、M&Aが成立した後に経営を妨げるものはないかチェックを行うのです。

すこし煩雑に思えるかもしれませんが、後述する事業譲渡や他の方法と比較すると、法的にも契約等の面でも手続きが簡単で、時間もかかりません。
そのため、株式譲渡は中小企業のM&Aではとくによく用いられる手法です。

事業譲渡

一方の事業譲渡とは、事業の全部、または一部を売買するM&A手法です。売り手にとって不要な事業や不採算事業だけを切り出して売却する際に利用されます。

売り手にとっては、事業のピボットをスムーズに行ったり、不採算事業を手放して経営資源を集中させたりといったメリットが得られます。買い手にとっても、新規事業をゼロから立ち上げるより低いコスト・リスクで参入できるというメリットがあります。

ただし、事業譲渡に際しては、特定の事業を存続するために必要な要素を丁寧に切り出さなくてはいけません。売り手はその線引きを検討しなければならず、買い手にとっても、その事業に従事する従業員がいる場合は雇用契約を結びなおしたり、事業に必要な許認可を再取得したりといった手続きが必要になります。

株式譲渡と比べて、契約や認可の取得といった手続きが必要になるので、時間がかかるM&A手法と言えます。

また、株式譲渡であれば基本的に創業者が筆頭株主になっているので、株式の売却益は創業者個人の収入として計上されますが、事業譲渡の場合は、事業の所有者である法人に対して対価が支払われるので、売り手企業の経営者が自身で受け取れるものではない、という契約主体の違いによるデメリットも生じます。

とはいえ、株式譲渡のように簿外債務を引き受けるリスクがなく、競業避止義務によって買い手企業が守られることも加味すると、お互いのニーズが合うのであればぜひ活用したいM&A手法と言えるでしょう。

とくに、新規事業の立ち上げに時間やコストをかけにくい中小企業にとっては、市場を開拓したり、事業同士のシナジー効果を生み出すうえでぜひ検討したい手法です。

企業価値評価として年買法が多い

さきほど、M&Aでは企業価値を算定する必要がある、と述べましたが、中小企業のように株式を公開していない企業の場合は企業価値算定(バリュエーション)が難しくなります。

上場企業の場合は、すでに株価が公開され、市場の需要と供給によって公平に企業価値が上下しますが、中小企業の企業価値には可視化しにくいものが多く、中でもスタートアップやベンチャー企業の場合はそこに「期待値」や「成長の見込み」というアバウトな指標も組み込まれます。

これらを客観的な視点から数値化して、実際の譲渡価格へ落とし込んでいくのが企業価値算定の難しいところであり、M&Aの中でも最もボリューミーな手続きです。

中小企業の企業価値を正しく算定するために、M&Aの分野ではいくつかの算定方法が考案・使用されています。中でもよく用いられているのが、年買法と呼ばれる価値算定方法です。

年買法とは、「純資産+営業利益×●年分」で計算する評価手法です。
M&Aの現場ではよく使用されており、純資産+営業利益×2~5年分として計算される事例が多くなっています。

企業価値算定は「何を価値基準と置くか」によって、大きく「インカムアプローチ」「コストアプローチ」「マーケットアプローチ」という3つの分類に分けられます。それぞれ「収益」「費用」「類似企業との比較」を基準に置いて企業価値を算定する手法なのですが、先ほど紹介した年買法は「インカムアプローチ」に含まれます。

価値を算定したい企業の平均的な収益額や超過利益額に着目し、その利益が将来にわたって何年間継続するか、という予測をもとに、得られる利益を割り出します。

そこで求められた利益額の見積もりをもとにして、資産や負債も組み込みながら企業価値を算定し、譲渡価格へ落とし込んでいくのが、年買法による企業価値算定の大まかな流れです。

企業価値算定は非常にテクニカルな分野なので、より詳しく知りたい方は以下の記事を参考にして、どのように中小企業の価値が算出されているのか把握してみるのも良いでしょう。

より詳しい記事はこちら
自社株評価(非上場)の方法とは?企業価値評価(M&A時)との違い
DCF法とは?割引率から企業価値の計算方法までどこよりもわかりやすく徹底解説
のれん代とは?M&A時におけるのれん代について徹底解説【計算方法の図解あり】

M&Aの手法

ここからは、先ほど紹介した「株式譲渡」「事業譲渡」以外のM&A手法について解説していきます。

合併

合併とは、2つ以上の企業が合体して1つの企業にまとまることを指します。そのため、株式譲渡や事業譲渡のように資産や負債を移動させるわけではありません。合併は大きく「吸収合併」と「合併会社の設立」に分けられます。

「吸収合併」は、1つの企業を「受け皿」として存続させておき、その企業の中に他の企業が吸収される形の合併を指します。合併の中でももっと一般的で、聞きなじみのある方も多いのではないでしょうか。

もう1つは、「合併会社の設立」ですが、こちらは合併する企業で新たに法人を立ち上げ、その法人の中に合併する企業が吸収される形式です。吸収合併と同様に資産や負債はそのまま引き継がれ、新設された会社への合併が完了したら、もともとの企業は消滅させます。

買収

ここからは、M&Aで最も良く用いられている手法である「買収」について見ていきましょう。

上図を見てもらえると分かるように、買収はさらに複数の手法へと枝分かれしており、一口に買収と言ってもスキームは多岐に渡ります。まずは、「株式取得」「会社分割」の2つについて、詳しく見ていきましょう。

株式取得

株式取得は、株式を媒介としてM&Aを行う手法の総称です。先ほど解説した「株式譲渡」はこの株式取得に含まれている手法と言えます。株式取得の中には、株式譲渡以外にも「第三者割当増資」や「株式交換」といった手法が存在し、それぞれ異なる特徴を持っています。

第三者割当増資

第三者割当増資はM&Aの中でも、資金調達の意味合いが強い手法です。既存の株式を譲渡する株式譲渡との違いは、「新株の取引であること」や「対価が企業へ払われること」の2つです。

まず新たに株式を発行し、その株式を第三者に買い取ってもらうことで、第三者の株式保有率を高めます。また、その際に支払われた対価は株式を発行した企業へと払い込まれますので、資金調達としての目的も果たせるのです。

すでに発行している株式が存在するので、株式保有率は100%にはなりませんが、議決権を委譲することはできますし、事業承継などの目的で活用される手法でもあります。

株式交換

株式交換は、買い手企業と売り手企業の発行済株式を交換することでM&Aを行うスキームです。株式譲渡はお金を対価に株式をやり取りしていましたが、株式交換は株式を対価に株式をやり取りするので、買い手企業にとっては、M&Aに際してキャッシュを支払わなくてよい、というメリットがあります。

しかし、買い手企業が中小企業などの非公開会社だった場合、譲渡制限などの縛りによって、売り手企業は対価として受け取った株式を現金化するのが難しくなります。

売り手企業は、M&Aによって自社の経営権を手渡したにも関わらず、現金化に変換するまでに時間がかかってしまうという難点がありますが、手元に現金がなくともM&Aに踏み切れるというメリットから、多くの企業が活用しているスキームでもあります。

株式移転

株式移転とは、新しく親会社となる企業を設立し、この親会社と既存企業で株式交換を実施することで、既存企業を親会社の100%子会社にする手法です。
この手法が採用されるのは、ほとんどが持株会社制に移行する場合です。

TOB

TOB(Takeover Bid)は、日本語で「株式公開買い付け」といい、株式市場の外で不特定多数の株主から株式を集める手法です。
買い付ける条件として「買い付け期間」「価格」「買い付け株数」を示して、これに応じた株主から買い取ります。

MBO

MBO(Management Buyout)は、経営陣や事業責任者がみずからの会社の株式や事業をその所有者から買収し、独立する手法です。
資金は銀行やファンドなどから調達します。

このM&A手法の背景には、株主が短期的な収益を求める傾向が強くなったために、中長期的に腰を落ち着けて経営することが難しくなったことや、市場の変化に柔軟に対応できる体制をとる必要性が高まっていることがあります。

一度は上場したものの、MBOによって市場から株式を買収し、非公開化するケースもあります。例えばPCやサーバーなどの世界的な大手企業であるDELLは、創業CEOらがMBOによって株式を集め、ナスダック市場の上場を廃止しました。
その目的は、事業を見直して長期戦略を遂行するために、株主の影響力をなくしたかったためだとされています。

また、MBOは、敵対的買収から企業を守るためや、中小企業における事業承継のための手法としても用いられます。
このように、株式を扱ったM&Aの中にも様々なスキームが存在し、どのスキームにも異なる特徴があるので、自社や相手企業の状況に合わせて最適な手法を選ぶことが肝心です。

会社分割

会社分割とは、企業を2つ以上に分割し、資産や事業などを別の企業に承継することをいいます。会社分割には2種類あり、新しく企業を作って承継させることを「新設分割」、既存の企業に承継させることを「吸収分割」といいます。

会社分割では、売り手企業は現金や分割した企業の株式を対価として受け取ります。株式を受け取った場合には、分割した企業の株主として関係が継続することになります。

会社分割は事業譲渡と同様に、一部の事業のみを切り出して売買できるため、成長事業を子会社化したり、組織改編で持株制に移行したりする場合にも活用できます。また、不採算事業を切り離して経営しやすくする際にも用いられる手法で、M&Aの中でも組織再編の意味合いが強い手法です。

資本参加

資本参加は、広義のM&Aと捉えられる手法です。企業の株式を買い取り、お互いの企業の結びつきを強くするために活用されます。株式譲渡と似ていますが、異なるのは「経営権に影響を与えるほどの株式は所有しない」という点です。

先ほど事例として紹介したYahoo!とdelyの例で言えば、もともとYahoo!はdelyの株式を保有しており、すでに資本参加を行っていました。資本参加によって両社の結びつきを強くしておき、双方の準備が整ったタイミングで本格的なM&Aに踏み切った事例と言えます。

M&Aはステークホルダーや顧客、市場、従業員などに大きな影響を与える可能性があるので、こうした柔らかな手続きを踏みながら、ゆっくりと進めていく手法も検討しましょう。

M&Aの手順と進め方

M&Aのスキームについて理解したところで、具体的なM&Aの手順や進め方について見ていきましょう。

M&Aを成功させるためには、M&A仲介会社やM&Aのマッチングプラットフォームを活用することになります。利用する仲介会社によって微細な差がありますが、ここではM&A仲介を利用する際のM&Aの流れについて見ていきます。

M&Aのフェーズは大きく3つに分けられます。ここではざっくりと「準備フェーズ」と「交渉フェーズ」「最終契約フェーズ」と捉えます。

準備フェーズ

ここでは、M&Aを検討したり、実際に仲介会社やプラットフォームへ相談を行います。仲介会社を利用する場合は、M&Aアドバイザーとアドバイザリー契約を結ぶなどの手続きが含まれるでしょう。この準備フェーズで、信頼できる仲介会社やM&Aアドバイザーと契約できれば、M&Aの成功確率はぐっと高くなります。

交渉フェーズ

ここでは、実際に売却案件としてM&Aアドバイザーやプラットフォームを通じて買い手企業へアプローチを行い、具体的な交渉やトップ面談まで進めます。この段階では売り手企業の手続きは多くないので、自社がM&Aによって得たいメリットや目指すゴールに合致する買い手企業が現れるのを待つことになるでしょう。

最終契約フェーズ

ここでは、トップ面談や交渉、DD(デューデリジェンス)、企業価値算定などを経て譲渡価格の決定にまで進みます。金額やその他の取り決めについて双方の企業が最終合意に至ったら、契約を締結し、株式譲渡や事業譲渡といったスキームで取引を進め、所定の期日に対価が振り込まれることになります。

M&Aは選んだスキームによって、必要な手続きも細かく変わりますが、大まかな流れはここで紹介した手順と変わりません。もっと詳しく手順を知りたい方は、以下の記事を参考にしてみましょう。

より詳しい記事はこちら
M&Aの手順と進め方や手続きの流れ【図解】必要なプロセス・書類・契約書(TSAなど)

M&Aを成功させるポイント

M&Aを成功させるためには、いくつか押さえておかなければならないポイントがあります。中でも最も大切なのが「信頼できる相手に相談する」ことです。例えばM&Aのマッチングプラットフォームなどは、実際の交渉ややり取りを経営者同士で行うことが多く、ノウハウを持っていないまま交渉を進めてしまうと、納得のいかない結果で落ち着いてしまう可能性があります。

初心者はM&A仲介がおすすめ

その点、同じ業種や規模でのM&A案件を多数経験しているM&A仲介会社やM&Aアドバイザーと協力して進めれば、求める条件に限りなく近いM&Aを実現してくれるでしょう。大手のM&A仲介会社は手数料が高額になりやすく、大型案件以外は相談しにくいのですが、中小企業のM&AやスモールM&Aに特化したM&A仲介会社も存在するので、ぜひ相談してみると良いでしょう。

M&Aの動向

近年のM&Aの動向としては、冒頭でも述べたように「事業承継」という目的を持ちながらM&Aに踏み切る企業が増加しています。それに加えて、純粋に成長戦略の一環としてM&Aに取り組む企業も増加しており、M&A市場は年々賑わいを増している状況です。

近年急速に整備が進んでいる行政側からのサポートも、こうした動きに拍車をかけていると考えられます。経済産業省や中小企業庁が中心となって、中小企業がM&Aを契機に事業承継や経営革新に乗り出す場合に活用できる「事業承継補助金」の拡充や、先述した「中小M&Aガイドライン」、「第三者承継支援総合パッケージ」の策定など、金銭的な援助だけでなく、知識の周知などにも取り組んでいます。

また、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために発令された、緊急事態宣言の影響を受けて、国内の様々な企業が大きな打撃を受けました。この影響から、スモールビジネスを展開する中小企業をはじめとして、廃業を余儀なくされる事業者が急増。廃業や休業を選択する前に、M&Aによって事業の存続や創業者利益を獲得しようという動きも活発化しています。

もちろん、株式譲渡でなく事業譲渡によって、特定の事業だけを切り出して売却することで、当面の運転資金を獲得しようとする事業者も多く存在します。

こうした動きを受けて、M&A市場はさらに拡大していくと考えられるでしょう。

より詳しい記事はこちら
コロナは個人M&Aの追い風に。コロナ禍での買収意欲は「高まった」が90%増。

M&Aをするには

M&Aを行う際には、具体的に大きく2つの手法が選ばれます。先ほどから紹介している「仲介会社」と「マッチングプラットフォーム」の活用に大別されますが、ざっくりと中~大規模の案件であれば仲介会社、小~中規模の案件であればマッチングプラットフォームを利用するのがセオリーです。

マッチングプラットフォームは利用にあたって手数料が低く、仲介会社よりも手軽にM&Aの手続きを進められるのがメリットです。しかし、その反面、交渉中や契約後に生じたトラブルの責任を自分で取らなければならないので、初めてM&Aに取り組む方には不向きであるとも言えます。

しかし、マッチングプラットフォームの中には、仲介会社の持つメリットと、マッチングプラットフォームの持つメリットを両方併せ持った、弊社のような「ハイブリッド型マッチングプラットフォーム」も登場しており、手数料を押さえつつ必要なサポートを受けながらM&Aを成功させたい方にとって魅力的な場所も増えてきています。

ハイブリッド型マッチングプラットフォームについて知りたい方は、ぜひ以下の記事を参考に、詳しいメリットについて読み解いていきましょう。

より詳しい記事はこちら
M&Aマッチングサイト ✕ 仲介 の「スピードM&A」で、M&Aを始める2つの方法!

M&A仲介会社

M&A仲介会社へ相談や依頼をする際には、多くの場合「手数料」が発生します。この手数料にも様々な内訳が存在し、企業によって金額や内訳が細かく変わってくるのです。基本的には「着手金」「月額報酬」「成功報酬」「中間報酬」などがよく挙げられる内訳となっています。

中でも、成功報酬に関してはほとんどの仲介会社で必要になる手数料です。また、この成功報酬に関してはざっくりとした相場が決まっており、仲介会社の成功報酬はその相場を基準に定められています。

この算出方法を「レーマン方式」と呼び、案件の金額に応じて適切な成功報酬の金額を算出する計算式となっています。具体的には、以下のように、取引額の規模ごとに報酬割合が対応する形で表されます。

取引額の3億円以下の部分…5%
取引額の3億円超5億円以下の部分…4%
取引額の5億円超10億円以下の部分…3%
取引額の10億円超50億円以下の部分…2%
取引額の50億円超の部分…1%

これはあくまで目安であり、この式をもとに「何%にするか」を変更したり、成功報酬を一律で200万円と定めたりと、仲介会社によって金額にはばらつきがあります。依頼する前に、その仲介会社に支払わなければならない手数料についても大まかに計算しておくと良いでしょう。

また、弊社「アイデアルパートナーズ」では、M&A仲介会社で一般的といわれる「着手金」をいただいておりません。完全成功報酬となるので、初めてM&A仲介会社をご利用するオーナー様にも、ご安心していただける料金設定となっております。

加えて、弊社が運営している国内最大級のM&Aマッチングプラットフォーム「スピード M&A」に蓄積された、膨大なデータベースを活かして、最適なマッチングを実現します。

海外進出や海外拠点の獲得を目指すオーナー様には、弊社が設置した海外拠点を強みとして、クロスボーダーM&Aのアドバイザリーサービスも実施。完全成功報酬制のまま、充実したサービスを受けたいオーナー様はぜひご検討ください。

このように、料金を抑えつつ理想的なM&Aを実現するためには、M&A仲介会社を慎重に選ぶことが大切です。

より詳しい記事はこちら
M&Aアドバイザリー契約の内容と報酬、締結時の9つの注意点を徹底解説!

M&A成功事例

ここからは、実際にM&Aに取り組んで成功へと導いた事例を2つご紹介します。先述したように、近年はM&Aに対して「後継者問題の解決(事業承継)」と「成長戦略」という2つのニーズが生まれています。それぞれのニーズごとに、成功事例を読み解いていきましょう。

事業承継型の事例:株式会社水戸ロックセンター

茨城県水戸市に拠点を置く、株式会社水戸ロックセンター。1967年の創業以来、合鍵の制作や錠前の販売・交換・取り付けなどを取り扱い続けてきた、鍵と錠前の専門店です。

70歳を目前に控えた代表の小松崎さんは、高齢化を理由に引退を検討していましたが、後継者が見つからない、いわゆる後継者問題を抱えていました。そんな折、体調不良によって長く勤めていた企業を退職した萩原さんと会食で出会います。

萩原さんは、小松崎さんが後継者を探していることを知り、立候補の手を挙げました。

経験したことのない職業への転身や、経営者という立場へのプレッシャーを感じつつも、夫婦で寄り添いながらできる仕事であることに魅力を感じ、2015年の年明けを待って、さっそく小松崎さんの元で修行をスタート。

萩原さんは順調に業務内容を覚えていきながら、株式譲渡に向けた準備も着々と進めていきます。会社を買い取るのに必要な資金を調達すべく、地域の金融機関を回りますが、「個人のM&Aに対応した融資メニューはありません」と断られてしまいます。

しかし、そこで「経営承継円滑化法」という支援策を活用すれば、日本政策金融公庫からの融資が受けられることを教えてもらいました。超えるべきハードルは、事業計画書の作成と、株式の譲渡前に企業の代表者名を変更すること。2つの条件をクリアした萩原さんは無事に公庫からの借り入れを成功させ、後継者教育もクリアします。

修行開始から2年が経過した2017年、小松崎さんは全株式を萩原さんへ譲渡し、事業承継が完了しました。

丁寧な関係性の構築や、技術習得などによる後継者教育が功を奏し、難易度が高い未経験からの第三者承継を成功させた、モデルとなる成功事例と言えるでしょう。

参考:私の事業承継│経済産業省関東経済産業局

成長戦略型の事例:株式会社エクスメディオと株式会社マイナビの事例

2019年4月、株式会社マイナビは、都内に拠点を置く株式会社エクスメディオの株式を取得し、子会社化に成功しています。

新卒の人材サービス領域で圧倒的なシェアを誇る株式会社マイナビ。一方のエクスメディオは、ITを通じて医師と医師がつながり、より良い医療の提供を目指すヘルステック領域のスタートアップ企業です。

エクスメディオは、AIやICT技術を駆使した自社プロダクト「ヒポクラ」をリリースしており、全診療科の医師が利用できる臨床支援ツールとして人気を博していました。本M&Aをきっかけに、このツールの名称を「ヒポクラ×マイナビ」へと変更し、ブランド力やコンテンツ制作力を活かした戦略を展開していくとしています。

また、マイナビとしても、今回のM&Aを通してメディカル人材サービス領域でのシナジー効果の創出を目指すとしており、双方のメリットが一致した結果、成長戦略につながった好事例でした。

参考:マイナビ、AIやICT技術による臨床支援ツールを提供する株式会社エクスメディオを買収、子会社化│マイナビ

話題の個人M&Aとは?

わが国でのM&Aに対する意識は変革を遂げているものの、未だにM&Aは企業が行うもの、という認識が根強く残っています。しかし、事業譲渡によるM&Aであれば個人事業主であってもM&Aは行えますし、会社員として働く方が資産形成の一環としてM&Aに取り組み、企業や事業を買収するケースも散見されるようになりました。

こうした少額から取り組めるM&Aは「スモールM&A」と呼ばれており、M&A市場の拡大に伴って、少額で売却されるM&A案件も増加しています。

資金に不安が残る中小企業や個人事業主の方、個人で企業や事業の買い手となりたい方は、ぜひ以下の記事からスモールM&Aについて詳しく調べてみると良いでしょう。

より詳しい記事はこちら
【個人M&Aで会社を買う】300万円から500万円で買える事業とは?

M&A案件とは?

M&A案件とは、売り手が売却を希望する会社や事業のことです。売り手企業が企業名を明かすのは、ノンネームシートのやり取りを経て、買い手と売り手の双方が交渉に対して前向きになったタイミングです。

従業員や株主への配慮として、企業名を明かさないのが一般的なので、買い手企業から見れば売却希望価格とざっくりとした業種、所在地などしか読み取れないようになっています。

そのため、M&Aの売り手企業は市場に公開されている時点では「案件」という捉え方をされることが多くなっていると考えられます。

M&A案件の探し方

M&A案件は様々な場所で見つけられます。仲介会社を通してM&A案件を紹介してもらうのも手ですが、もっと手軽に案件を探すのならば、民間企業が運営しているマッチングプラットフォームや、行政が運営している後継者募集のM&A案件を探してみるのが良いでしょう。

M&Aプラットフォーム”スピードM&A”ので案件の探し方を紹介

弊社が運営しているM&Aプラットフォーム「スピードM&A」を使ってM&A案件を探す方法についてお話していきます。

「スピードM&A」ではこのように豊富なM&A案件が掲載されています。

詳細を見てみるとこのように、特定されない範囲でどういう事業を行っているか、どういうビジネスモデルなのかが掲載されています。

気になる案件が見つかったら、ぜひ売り手にメッセージを送ってみましょう。成約するまでサービスの利用料は無料です。

ユーザー同士のやりとりはプライベートチャットで行います。秘密保持契約の締結機能、ファイルの添付機能を完備。チャットから事務局への問い合わせも可能です。

また、アドバイザーがついている案件も多数あり、M&Aに慣れていない方もスムーズに交渉を進めることが可能です。

平日はほぼ毎日新しいM&A案件が掲載されますので、買収ニーズを登録をすれば、マッチしたM&A案件を見逃すこともなくなります。

会員登録はこちら

以下の記事では、弊社がおすすめしている「M&Aの案件を探す方法」について詳しく解説しています。これからM&Aに取り組もうと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

より詳しい記事はこちら
中小企業のM&A案件を探す方法5選

M&Aのメリット・デメリット

それでは、M&Aにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?

買い手(買収する譲受側)と売り手(買収される譲渡側)、双方の立場からM&Aのメリットとデメリットを整理してみましょう。 

買い手にとってのメリット

M&Aにおける買い手のメリットとは、事業の規模を拡大できることです。

単純に売上を積み増すだけではなく、それまで参入できなかった分野や事業、リーチできていない地域や取引先を、自前で開拓するよりも圧倒的な短時間で、労力をかけずに獲得することができます。

特に、免許が必要で限られた企業のみが事業を行えるような参入障壁の高い産業分野の場合には、手続きを大幅に簡略化して参入することができます。
総じて、M&Aが「時間をお金で買う」手法と呼ばれるのもそのためです。

例としては、携帯電話会社のソフトバンクとイー・アクセスによる2012年の経営統合が印象的です。
携帯電話の設備を急いで増強したかったソフトバンクですが、設備を広げるのはもちろん、使える周波数は免許制で国によって割り当てられているため、どうしても限界がありました。

そこで目をつけたのがイー・アクセスです。
買収することで、すでに持っている設備と免許を一気に手に入れることができました。
イー・アクセスとしても、利用者がソフトバンクの設備も使えるようになる利便性を提供できるようになるというメリットがあります。

また、買収によって業界シェアも向上しました。
M&Aで買収する相手が競合であれば、取り込んでしまうことで優位な立場や寡占状態を形成することができるのです。

M&Aで得られた資産を既存の事業と合わせることで、コスト削減や販売機会の増加といったシナジー効果が生まれることがメリットとして期待されています。

買い手にとってのデメリット

買い手にとってのデメリットとして、M&Aに期待していた効果が得られない場合が挙げられます。
特に気を付けておきたいのは、人的な面で問題が発生する可能性です。

買い手企業の経営陣と、売り手企業の従業員間に不和があれば、それまで円滑に行われていた事業に支障をきたすことになります。

また、いっしょになる企業間の異なる文化や待遇をすり合わせていくことに時間がかかる場合や、そもそも相容れない可能性もあり、出身企業ごとに派閥ができてしまうような事態も想定されます。

ひずみが元で退職者が出たり、活躍を期待されていたキーパーソンがM&Aを機に退職してしまったりして、優秀な人材が流出することも考えられます。

また、バランスシートに載っていない簿外債務や偶発債務が、買収交渉の後になって発覚することもあります。

売り手にとってのメリット

とくに中小企業などの経営者にとって、事業承継の手段としてのM&Aへの期待が大きくあります。
何よりも、事業の先行きや従業員の雇用を守ることについての悩みをなくすことができることがメリットです。

また、資金を得ることができるため、キャッシュフローの問題を解決することができます。

またオーナー経営者であれば、企業としての融資を受けるために個人保証している重圧がなくなるほか、企業への貸付金が戻り、売却した株式の代金や役員退職慰労金によって自分自身の収入を得られるメリットがあります。

売り手にとってのデメリット

売り手にとってのM&Aのデメリットは、買い手と同様、想定外の事態が発生する可能性が懸念されることです。
売り手としては、従業員の雇用維持がM&Aの目的であったにもかかわらず、実際にはM&A成立後にリストラが行われる可能性も否定できません。

また、雇用は守られたものの、労働条件や文化の変化、人間関係の問題などから退職者を多く出してしまう結果になることもあります。

そして最も問題となるのは、買収に応じてくれる買い手が見つからない可能性があるということです。
市場は、将来どれだけの可能性を持っている企業なのかをきびしく評価しているため、それに応えられるだけの企業価値を持っている必要があります。

M&Aの歴史

近年、注目度が急激に高くなっているM&Aですが、実は古くから存在している経営手法です。
アメリカと日本の場合にしぼって、その歴史を簡単に振り返ってみましょう。

アメリカにおけるM&A史

アメリカでは1800年代から、インフラ産業などで高いシェアを得るためにM&A戦略が採用されるようになりました。
石油や鉄道など、同業他社の競合を吸収することで競争を優位にし、スケールメリットも得られる戦略です。

しかし、一部の企業にシェアが偏りすぎたため、1890年にはシャーマン法が成立し、その後の独占禁止法(反トラスト法)などの法律が整備されていきました。

やがて、本業とは関係のない企業を買収して事業の多角化を図り、コングロマリット(複合企業)を形成するためのM&Aが1970年代になって活発になりました。
ブームともいえる時代の流れでしたが、経営資源が分散することの難しさから、この勢いはやがて衰えます。

時代が進み1980年代に入ると、M&Aにも新たな手法が生まれました。
買収予定企業の資産や将来性などを担保に融資を受けて買収するLBO(Leveraged Buyout)が登場したのも、この時代です。
また、経営状態の悪化した企業を投資目的で買収・再生し、高リスクで高リターンを得る「ハゲタカファンド」の動きも活発になりました。

1990年代以降のM&Aでは、売り手と買い手それぞれの本業が一層の強みを持つ、シナジー効果を生む関係であるのかを見極めるようになりました。
そして、このころからは、アメリカ国内だけにとどまらず、海外企業とのM&Aも活発になっています。

日本におけるM&A史

日本でM&Aという言葉をよく耳にするようになったのは最近のことかもしれませんが、実はその手法は古くからあったものです。

敵対的買収では、いわゆる財閥系の企業が20世紀の初めごろから事業買収を繰り返すことで、事業を拡大していったという歴史がありました。
このころの買収の対象は、おもに重工業系の事業が中心で、日本国内の工業化に貢献しましたが、敵対的買収なども行われていたのです。

1930年代は、同業他社による大型の合併が続きます。
製鉄や製紙など、「規模の経済性」がもたらされる産業での再編です。
また、コングロマリット化を志向する動きや、財閥系企業の再編も目立ちました。

戦後になると、過度な独占に対する風当たりが強くなりました。
力の集中していた財閥は解体されることになり、それ以降は1980年代のバブル前夜までM&Aは下火になります。
独占禁止法の影響や、高度経済成長期の産業がM&Aなしでも成長できる構造だったなど、さまざまな理由によると考えられています。

とはいえ、注目されるM&Aもありました。
1952年には、百貨店の白木屋を対象にした買収劇が起き、1970年代からは、製鉄や銀行などが合併を繰り返して現在の企業体へと至っています。

バブル時代は、空前の好景気で豊富な資金力を得たのに加え、円高や株価上昇、規制緩和を背景に、日本企業が海外企業を積極的に獲得していきました。

そしてバブルが崩壊し、1990年代後半になると、長期的な不況に陥った状況を立て直そうと、バブル期の過大な設備投資を整理する再編や、コスト削減や規模の経済性を求めてのM&Aが増えました。
また、このころから株式交換や持株会社などの制度が認められるようになり、IT企業なども躍進を始め、以降はM&Aが活発になっていきました。
近年では、ライブドアによるニッポン放送株の買い付けや、村上ファンドなどをメディアが大きく取り上げたことが強く印象に残っています。

現在では、大胆に経営資源の選択と集中を行うM&Aや、団塊世代を中心とするオーナー経営者が事業を承継するために中小規模のM&Aが増加しています。

今後もM&Aが増える理由

現在では一般的になっているM&Aですが、それには次のような要因があり、今後も活発にM&Aが行われると予想されています。

生産人口の減少

日本の生産人口(15~64歳)は国内で減少しており、今後もさらに減り続けると予想されています。

特に中小企業ほど採用が難しくなり、人材不足がそのまま経営を揺るがす問題となるでしょう。
そのため、事業を継続できずにM&Aで譲渡したいと考える中小企業の経営者が増えるものと考えられています。

グローバル展開

日本国内の企業だけでなく、海外の企業を対象にM&Aを行う企業も増えています。
国内市場の伸びが期待できない中、活路を求めてグローバル展開を進め、海外で販売網を構築するなど広く根を張るためには、各国の現地企業とM&Aを進めるのが手っ取り早く合理的な手法だからです。

事業承継

団塊世代である中小企業のオーナー経営者を中心に、経営者が引退を考える年齢になった企業が増えています。
後継者が見つからない中、従業員や取引先への影響を考えると、M&Aによる事業承継が最も現実的な手段として候補に挙がります。

そのため、今後も中小企業がM&Aによって事業を売却する流れが続くと予想されます。

AIによるマッチング

後継者問題などで事業承継の需要は高まりつつありますが、その一方では思うような条件の相手とめぐり合うのは容易ではありません。

買い手と売り手の双方にとって利益が最大化するよう、最適なM&Aの相手を見つけるには、これまで人間の力に頼ることがほとんどでした。
事業の特色や価値、企業の状態を正確に評価するには、会計や税務、法律など、専門家の力も必要です。

しかし、現在はAIが実用段階に入り、M&Aを希望する企業同士を結び付けるマッチングサイトのサービスなども盛んになっています。
AIのサポートによってマッチングの精度が高まることで、M&Aがさらに活発になるものと予想されます

M&Aを相談するなら

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その1つが株式会社アイデアルパートナーズです。



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「マッチングプラットフォーム」「アドバイザリー」「クロスボーダー」の3軸からなるダイナミックなM&Aサービスを提供しています。

このサービスの優れたところはマッチングからスタートして、アドバイザリーに移行できることや、プラットフォームのネットワークを駆使して、全国、さらに海外からの候補先の提案が受けられるところです。

どの仲介会社に相談したらよいか迷っている。多様な選択肢から自社に合った最適なM&Aを検討したいと考える方に最適な選択肢となるでしょう。

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より活発化するM&Aに注目したい

M&Aの基本的な知識をはじめ、さまざまな手法や中小企業でのM&A、そして今後の展望についてご紹介しました。

  • M&Aを経営戦略だと考えることが一般化してきている
  • M&Aは後継者不在問題の解決策になる
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  • 中小企業のM&Aでは株式譲渡が用いられる
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M&Aの基本をよく理解することが、売り手にとっても買い手にとっても幸せな成約につながります。M&Aについて、さらに詳しい知識や情報を得るには、M&Aのマッチングを手掛けているアドバイザリー会社やマッチングサイトを利用するのがよいでしょう。

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