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債務超過とは?赤字との違い、債務超過になる原因から対応策まで

業績が悪い企業が「債務超過」となった、といったニュースを見たことがある方は多いと思います。今回は債務超過について、具体的な事例と図解を用いながら分かりやすく解説していきます。

債務超過とは

債務超過とは、負債総額が資産総額を上回った状態のことをいいます。第一章では、必ず押さえておくべき、債務超過の基本的な概念を見ていきましょう。

債務超過の定義

債務超過は定義としては、「会社の財務諸表において、負債総額が資産総額を上回る状態」です。つまり、保有している資産を全て売却したとしても負債が残ってしまう状態と言い換えることもできます。

債務超過と赤字との違い

債務超過と赤字は、どちらも経営状態の悪化を意味している点では共通しています。両者の違いは、債務超過は貸借対照表に発生するもので、赤字は損益計算書に発生するものである点が大きく異なります。また、赤字は1年単位で見るものに対して、債務超過は累計で見る点も異なっています。

具体的な数値例を出して債務超過と赤字の違いを見てみましょう。現在、会社を創業したばかりで資産・負債は0と仮定します。

1年後、1,000万円の赤字になってしまった場合、1,000万円の債務超過となります。2年後に、再度1,000万円の赤字であった場合、2年後は2,000万円の債務超過です。3年目以降も同様の赤字が続くと、債務超過も3,000万円、4,000万円・・・と増加していくことになります。

赤字の積み重ねが債務超過となる、と言い換えることもできます。

債務超過の計算方法

債務超過の計算方法は、資産総額<負債総額の場合に、負債総額から資産総額を差し引くことで計算することができます。

例えば、資産1億円、負債総額2億円のA社を考えてみましょう。この会社の債務超過額は、以下のとおりです。

債務超過額=2億円ー1億円 = 1億円


また、資産総額>負債総額である場合は債務超過ではありませんが、「資産超過」と呼ばれることもあります。ただし、資産超過であることが会社にとって通常の状態なので、あえて「資産超過」と呼ぶことは実務上はあまりありません。

債務超過のイメージ

「債務超過の計算方法」の計算結果を図解すると以下のとおりです。


資産1億円を売却したとしても負債2億円のうち、1億円は返済不能であることが分かります。

会社が順調にいっていれば、上記のような貸借対照表になることはありません。経営不振になり赤字が継続してしまう、借入を行い大きな投資を行ったが失敗してしまった、といった場合に資産よりも負債が多い状況が起こってしまいます。

債務超過というと、すぐにでも倒産してしまうのではないかと思われるかもしれませんがそうではありません。負債の返済期限が例えば10年後であれば、例え現在債務超過であっても、10年後に債務超過が解消できていれば何ら問題はありません。

債務超過の内容によって、倒産リスクが異なりますので、会社の実態を把握するよう心がけましょう。

債務超過のデメリット

債務超過になってしまった場合、以下のような3つのデメリットが生じます。

銀行から融資を受けることが困難になる

状況によって例外はありますが、銀行が債務超過の会社に融資をすることは基本的には困難です。債務超過とはすでに資産を全て売却したとしても既存の負債を返済することができない状況です。

債務超過の状態から更に銀行が追加融資するとなると、銀行からすると貸倒の可能性が非常に高く感じられ、融資を躊躇してしまいます。

また、例え融資が受けられたとしても、金利や連帯保証、担保など通常時よりも厳しい条件が課されてしまいます。

取引先からの信用低下

債務超過に陥ってしまった場合、取引先からの信用低下により、支払期間を短くされる可能性があります。例えば、通常の仕入先で、月末締め翌月末払いで現金を支払っていたものが、現金と商品の同時取引しか認められなくなるといったことです。

資金サイクルが悪化するため、十分な現金がない場合は、資金繰りに窮してしまうことになります。

人材確保が困難になる

債務超過であることが公になると、社内で働いている人や、そのニュースを見た人全員にネガティブな影響を与えます。

働いている人は会社が将来潰れてしまうことを予想し、転職してしまうリスクが高まります。また、新卒採用や中途採用でも、債務超過の会社に好んで入社しようという人は少数でしょう。

一度債務超過に陥ってしまうと、人材確保が困難となり、経営再建がより難しくなるといった負のサイクルに突入してしまう恐れがあります。

読者ニュースで見るときも債務超過という言葉はネガティブな意味を感じていました。なぜ、大きな企業が債務超過になると注目されるのでしょうか?

編集部債務超過=潰れてしまう可能性が高まっている、と考えられるからです。
大きな企業が潰れてしまえば、関係者が多いためその社会的影響は甚大です。
そのため、ニュースでも取り上げられやすくなっています。

債務超過となる原因

債務超過の概要を押さえた後は、なぜ債務超過となってしまうのかの原因を3点解説していきます。

赤字の継続

赤字が何年も継続することで、債務超過となります。赤字とは損益計算書において税引後利益がマイナスとなることを意味しています。

例えば、現在の純資産が1億円、年間の赤字が3,000万円とします。1年後の純資産は、「1億円ー3,000万円=7,000万円」となり、債務超過ではありません。

しかし、年間の赤字3,000万円が4年間続いてしまうと、純資産が「1億円ー3,000万円×4年=▲2,000万円」と債務超過となります。

経営状態が悪化しており、赤字が継続している場合には債務超過となる可能性がありますので、その前に計改善を図るなど対策をしなければなりません。

赤字が継続していたとしても、事業計画どおりであり、将来の黒字が見込まれる場合は一時的に債務超過となってしまっても、特段問題ない場合も多くあります。ベンチャー企業などであれば創業したばかりで黒字計上するのは難しい面もあります。

投資先が赤字であったとしても、すぐに債務超過の心配をするのではなく、赤字の原因を探り、赤字の質を見極められると良いでしょう。

資産価値の毀損

保有している資産価値が毀損した場合も債務超過の原因となります。資産として1億円の現金、3億円の有価証券を保有、負債総額3億円(全て借入金)、純資産1億円のB社を例にとってみましょう。

現状は純資産がプラス1億円あるため、債務超過ではありません。ここで、コロナ第二波ショックなどで保有している有価証券の時価が半分になってしまった場合を考えます。

B社の貸借対照表は以下の図のようになり、債務超過となってしまいます。


保有資産の時価変動が大きく、時価が大きく値下がりした時に債務超過となってしまう場合は、経営状態が安定しているとは言えません。例えば、借りたお金で株式投資を行うといったケースが考えられます。

債務超過を避けるためには、むやみに借入金などによるレバレッジをかけずに経営することが望ましいと言えます。

簿外負債・偶発債務

簿外負債や偶発債務が明らかになることで、債務超過に陥ってしまうケースもあります。資産として4億円の現金、負債総額3億円(全て借入金)、純資産1億円のC社を例にとってみましょう。

C社は今まで順調に経営を続けてきましたが、突然、特許侵害で訴訟され、損害賠償金3億円を支払う可能性が高まったとしましょう。

C社の貸借対照表は、以下の図のようになり、既存の借入金3億円が現状の現金残高だと支払えなくなってしまいます。


もちろん、損害賠償金の支払が確定しても、すぐに支払わなくて良い場合もあるでしょう。場合によっては分割払いに応じてもらえるケースもあるかもしれません。いずれにせよ、損害賠償金を支払うための現金がなければ、倒産するリスクが生じてしまいます。

オーナー経営者赤字が続くことや突然保有資産が値下がりしてしまうことは、経営している中でよくあることです。
債務超過にならないために注意しておくべきポイントはありますか?

編集部債務超過にならないための特効薬はありませんが、やはり、普段から数字をリアルタイムで把握しておくことが重要だと考えます。
自社の数字がどうなっているか分からない状態だと、実質的には赤字状態で実は債務超過であった、といったことが起こってしまいます。

債務超過の対策

債務超過になってしまった場合、以下の3つの対策が挙げられます。それぞれ詳細に見ていきましょう。
  • 増資
  • 債務免除
  • 経営改善

増資

増資とは、株式を新たに発行し投資家などからお金を集めることです。債務超過額を超える増資を行うことで債務超過を解消することができます。

「簿外負債・偶発債務」の事例から、増資3億円を行うケースを考えてみましょう。貸借対照表は以下の図のように変化します。


増資3億円により、元々あった債務超過2億円が解消され、純資産がプラス1億円となっていることが分かります。

増資をすることで、債務超過を一括で解消できる点は魅力ですが、以下のようなデメリットがあります。

・自分の持株比率が低下する
・経営状態が悪化しているため、増資してくれる投資家が見つからない可能性がある


特に自分の持株比率が過半数を割ってしまう場合は、自社を自らがコントロールできなくなるため、注意が必要です。

債務免除

債務免除とは、借りたお金の返済を免除してもらうことを言います。全額免除だけでなく、一部免除の場合もあります。

「資産価値の毀損」の事例から、借入金3億円のうち2億円の返済免除を受けた場合を考えてみましょう。貸借対照表は以下の図のように変化します。


債務免除を受けることで借入金が圧縮されるため、債務超過を解消することができます。ただし、銀行も貸したお金を単に放棄することはありません。債権放棄した方が最終的に回収が多くなるだろうと想定されている特殊なケースでしか起こりえない点は留意が必要です。

例えば、自社が経営難に陥っており、借入金の返済負担が重く現金が回らない場合、合理的な経営改善計画を策定したうえで、債務免除に応じてくれるといったケースです。

経営改善

最も本質的な債務超過の解消方法が経営改善です。経営改善を図ることで、赤字体質から黒字転換し、利益計上することで債務超過を徐々に解消していくことができます。

例えば、現在年間1,000万円の赤字続いており、債務超過が5,000万円ある状態とします。1,000万円の赤字から、1,000万円の黒字に転換できれば、5年間で債務超過を解消することができます。

どのように経営改善を行えば良いかは、会社によってさまざまであり、容易ではない点には留意が必要です。また、増資や債権放棄のようにすぐに債務超過が解消できるわけではなく、時間がかかることも大事なポイントです。

オーナー経営者債務超過の解消方法はよく分かりました。
一度債務超過になってしまうと、簡単には解消できないのですね。

編集部はい。債務超過になる前に、抜本的な経営改善を行うなどの対応を行うことが望ましいです。
一度、債務超過や資金繰りに窮してしまうと、抜け出すのが困難になってしまいます。

債務超過に関する実務上の留意点

以上、債務超過の基本について解説してきました。ここからは債務超過に関する覚えておきたい実務上の留意点を解説していきます。

買収時ののれん

債務超過の企業を買収した場合、必ずのれんが発生します。のれんの金額は「買収金額ー純資産×取得比率」で計算することができますが、純資産がマイナスの分、必ず計算式は正の数となります。

例えば、債務超過1億円の企業を0円で100%取得した場合ののれんは、1億円となります。債務超過の企業を買収する際は、例え0円で取得したとしてものれんが発生する点に留意が必要です。

繰越欠損金の引継ぎ

繰越欠損金とは、税務上の赤字である欠損金の累計額です。債務超過の企業は、繰越欠損金が生じている可能性が高いと言えます。なお、会計用語である債務超過と税務用語である繰越欠損金は、似ているものの意味合いは少し異なっていますので、混同しないよう注意が必要です。

買収手法の中でも「合併」を選択することで、買収先企業の繰越欠損金を引き継ぐことができる場合があります。繰越欠損金を引き継ぐことで、将来に自社が利益が出たときの法人税を節約する効果があります。

「合併」でなく、単に100%子会社とするなど、「株式譲渡」による買収を選択した場合は、自社には買収先の繰越欠損金を引き継ぐことはできません。買収後に、買収先の経営改善を図り利益体質とすることで買収先の将来の課税負担を図ることは可能です。

「合併」により、繰越欠損金を引き継ぐためには、税務上厳格な要件が定められています。繰越欠損金がある企業と合併する際は、事前に税理士に相談のうえ、合併の手続きを進めるようにしましょう。

上場企業の事例紹介

債務超過は、上場企業でも陥ってしまう場合があります。東証一部に上場しているレオパレスを見ていきましょう。

レオパレスの2020年6月末連結貸借対照表における債務超過額は、約118億円です。貸借対照表の状況を図示すると以下のとおりです。

四半期報告書|レオパレス21

負債の中でも過去の違法建築による補修工事関連損失引当金467億円や、社債・借入金263億円が重くなっています。仮に今の状態でレオパレスが破産申請を行えば、債務超過であるため、負債を全て払えないこととなってしまいます。レオパレスの株主から見ても、破産によって残余財産を受け取る権利はあるものの、債務超過の状態では受け取れると期待される金銭はありません。

レオパレスが債務超過対策として選択した方法は、増資です。2020年9月30日、レオパレスは、アメリカの投資ファンドであるフォートレス・インベストメント・グループ傘下の企業から、総額540億円の資金調達を実施することを発表しました。

540億円の資金調達のうち、120億円は増資によるもので、118億円の債務超過は解消される見込です。残りの420億円は新株予約権、新株予約権付社債であるため、将来的には更なる資本の増強が図られる可能性があります。

レオパレスの株主からすると、自分の持分比率は減少することになりますが、倒産リスクは大きく減少したことになります。

以上のように、安定していると思われている上場企業でも、違法建築などの問題がひとたび起こってしまえば、簡単に債務超過になってしまうことが分かる事例です。

読者債務超過のレオパレスになぜ投資ファンドは投資を行うのでしょうか。

編集部今、投資を行いレオパレスを支援し困難を乗り越えればレオパレスの株価は将来上がることが期待されます。
その値上がり益を狙うのが投資ファンドです。
債務超過のような問題を抱えた企業の株価は安くなっており、投資のアップサイドが大きいことが特徴です。

債務超過でも自社を売却できる場合

自社が債務超過になってしまった場合、「債務超過の対策」でも説明してきたとおり、対応策はあります。しかし、どうしても経営再建が難しかったり、経営者としての立場を降りたいといった場合もあるでしょう。

債務超過の会社売却はあまり考えに及ばないかもしれませんが、債務超過でも自社を売却できる場合があります。具体的には以下のような場合です。

・会社の人、技術、ブランドなど、財務数字に表れない強みがある
・買い手候補先との事業シナジーが強く、買い手としては債務超過であっても投資金額を回収することができる
・繰越欠損金があり、買い手候補に節税効果が見込まれる
・経営改善が見込まれ、短期間での債務超過解消が期待されている


もちろん、上記に該当しない場合でも債務超過企業を売却することは可能です。そのためには、なるべく多くの買い手候補が集まるM&A仲介会社に依頼することが重要です。また、数だけが多ければ良いわけではなく、真剣に買収を検討している質の良い買い手候補であることが必要です。


アイデアルパートナーズはM&Aの総合支援を行う企業です。
M&Aマッチングプラットフォーム”スピードM&A”を提供しており、7,000社以上の豊富な買い手のネットワークがあります。

また債務超過企業のM&Aについても知識豊富な専門家が在籍しておりますので、1円以上で売却できるケースがございます。

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