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事業承継とは|中小経営者向けにわかりやすく解説 〜これさえ読めば事業承継はOK〜

国内の経営者が高齢化していく中で、会社を存続させながら次世代へバトンタッチするために注目されている「事業承継」や「事業承継型M&A」という手法。
いずれも現経営者が代表を退き、信頼できる後継者や他社へ企業を託すことから、企業内の新陳代謝を促すものとして期待が高まっています。
経営者にも株式や事業の売却益が手に入るため、廃業する前にぜひ検討したい「事業承継」や「事業承継型M&A」について、詳しく解説しています。

そもそも事業承継とは?

事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことです。経営権や資産、負債、ブランド、ヒトなどあらゆるものがその対象です。
事業の存続に係る事業承継は極めて重要な経営課題とされています。しかし近年では親族や社内に後継者がいない、または決まっていないといった、後継者不在が問題となっています。
これを解決する手段として注目されているのが、第三者に会社を託す第三者承継(事業承継型M&A)です。
事業承継型M&Aについては後ほど詳しく解説します。

「承継」と「継承」の違い

「事業承継」とよく似た言葉に「事業継承」があります。それぞれのちがいを確認してみましょう。

「承継」は「地位や事業、精神」を受け継ぐものとされ、継承は「身分や権利、義務、財産」を受け継ぐものとされています。
経営の交代によって事業や精神を受け継ぐのが事業承継なので、呼称としては一般的に利用されている「事業承継」の方が正しいと言えそうです。

「継承」はどちらかといえば「身分」や「手法」の引き継ぎを表す際に利用されます。
王位の継承、秘伝のタレを継承、といった用法です。
少しハード面よりの印象と言えます。

先代の「想い」といったソフトな面も受け継ぐ場合は「承継」がぴったりと言えるでしょう。

関連:事業承継と事業継承のちがいを解説丨成功する事業”承継”の考え方とは

事業承継は企業が新たなステージに進むための手段

先代の想いや会社の理念を深く理解した上で経営を受け継ぎ、後継者の手によって新たなステージへと飛翔するためにも、事業承継やM&Aは今の時代においてなくてはならない手法と言えます。

なぜ事業承継が注目されているのか

事業承継が注目を集めるようになったのは比較的最近のことです。2017年に経済産業省や中小企業庁が発表した、2025年に到来すると言われる「大廃業時代」の存在が起因しています。

事業承継を理解するためには、こうした日本の中小企業が直面している問題についてあらかじめ把握しておかなければなりません。ここからは、事業承継が注目されるに至った理由について、大きく3つに分けて解説していきます。

事業承継が注目される3つの理由
  1. 経営者の高齢化による大廃業時代の訪れ
  2. 経営革新を行い企業の新陳代謝を促進するため
  3. 業界や業態のグローバル化・DXに対応するため

それぞれ見て行きましょう。

経営者の高齢化による大廃業時代の訪れ

2017年に経済産業省が試算したデータによると、日本の企業の99%を占めている中小企業や零細企業のうち、約1/3にのぼる「127万社」が廃業の危機を迎えていることが分かりました。

経営者年齢のボリュームゾーンは年々高齢化を続けています。2019年に発布された中小企業白書によれば、1995年から2018年までの23年間で、経営者年齢の最頻値は「47歳から69歳まで高齢化している」ことが分かっています。


引用:中小企業白書丨中小企業庁

このように、経営者が高齢化していくことで、経営において様々なハードルに直面する機会が増加します。その結果、経営を続けていくのが難しく、廃業を選択する経営者も少なくありません。以下に掲載している円グラフは、廃業を意識した理由について経営者の意識を調査したものです。

経営者が廃業を意識した理由として最も多かったものは「経営者の高齢化、健康(体力・気力)の問題」によるもので、全体の4割近くを占めているのです。

売上の減少を理由に廃業を意識する企業も3割近く存在するものの、割合としては高齢化を理由に廃業を選択する企業が多いことが読み取れます。


引用:中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来

また、廃業と聞くと赤字廃業をイメージしがちですが、先述した通り、黒字経営が続いているにもかかわらず廃業を意識する中小企業も少なくありません。以下の円グラフは、廃業時の企業の財政状態を表したものです。


引用:中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来

さらに興味深いのは、廃業時の業績についての調査結果です。
黒字の状態で廃業する企業は全体の44%以上を占めています。


引用:中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来

利益が出ており、経営状況も悪くない優良企業が経営者の高齢化を理由に廃業してしまうのは非常にもったいないことであり、こうした理由で廃業する企業が増加することで、先ほど紹介した「大廃業時代」へと突入し、22兆円の国内総生産(GDP)や650万人の雇用を失うと言われています。

関連:中小企業が抱える事業承継問題の実態や解決策をジャンルごとに紹介

経営革新を行い企業の新陳代謝を促進するため

経営者が高齢化することで生じる大きな弊害は、経営革新に取り組みにくくなるということです。長く企業を牽引してきたこともあり、大きな変革を起こして企業をより良く改善する意欲が削がれてしまっている、という精神的な問題もありますが、急速に発達したIT技術や、それらを取り入れた業務のデジタル化に抵抗を持ってしまうケースが多く見られます。

以下のグラフは若手経営者と中高年経営者を比較して「ITの導入状況」を調査したものです。「業務用の携帯電話を支給」という項目以外では若手経営者の方がIT化に意欲的であることや、SNSなど比較的新しい市場への参入についても意識の面では大きな差があることが分かります。


引用:経営者の年代別にみた中小企業の実態−若手経営者の特徴−丨日本政策金融公庫論集

IT化に代表されるように、業務の進め方や効率化の方法は日進月歩で移り変わっていきます。そうした変化を敏感に察知し、受け入れていける柔軟性は若手経営者ならではとも言えるでしょう。

既存の慣習にとらわれず、経営革新や組織改革を行いより良い状態へ企業を導いていける後継者に譲り渡すことで、企業は新たなステージで次のスタートを切れるようになるのです。そのための手法として、中小企業の間でも事業承継やM&Aが注目されていると考えられます。

業界や業態のグローバル化・DXに対応するため

経営や組織を改革する目的は、競争のスピード感が向上したことや業務の形が刻々と移り変わっていることに起因します。たとえばIT化などは、業務を進める上で必ずしも必要なことではないかもしれません。

しかし、周囲の他社がIT化によって業務効率を2倍にしているのに自社だけがIT化に消極的だったとしたら、競争に敗北してしまうでしょう。

また、ITの発達によってグローバル化が急速に進んだことも踏まえると、革新を続けていかなければ、ライバル企業や新興企業から、簡単に逆転されてしまう時代になっているとも考えられます。

近年は既存の事業をデジタル化させてサービスの質を向上させる、という意図で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉も耳にすることが増えました。2018年には経済産業省もDX 推進ガイドラインを策定し、企業のDXを促進しようと考えています。

こうした全体的な流れをくみ取り、自社のスタンスや取り組みを決定していくためにも、経営者の若返りは必要不可欠な試みと言えるでしょう。

事業承継は大きく3種類に分かれる

事業承継は後継者候補がどこにいるか、によって大きく3つの手法に分けられます。
  1. 親族内承継
  2. 役員や従業員への承継
  3. 第三者承継(事業承継型M&A)

この3つの手法の関係を図にまとめると次のようになります。



それぞれ向いている企業や気をつけるべきことが異なるので、あらかじめ理解しておくと事業承継を行う際に自社がとるべき選択肢がわかります。

それでは、ひとつずつ手法を見ていきましょう。

血縁者に事業を引き継ぐ親族内承継

これまで事業承継の中で主流となっていた手法が親族内承継です。ご子息を筆頭に、代表の血縁者へ企業を譲り渡す親族内承継は、事業承継の中でも最も選ばれやすく事例も多いことで知られています。

代表の意向としては人となりを深く理解している血縁者に企業を任せられれば安心できるため、息子や娘に事業承継を行う企業も多く存在します。

しかし、近年は少子化や職業選択の幅が広がったこともあり、親族内承継以外の選択肢を選ぶ方も少なくありません。

役員や従業員に事業を引き継ぐ親族外承継

息子や娘といった事業を引き継いでくれる子供がいなかったり、血縁者の中に後継者となれる人材がいなかった場合は親族外承継を検討するケースがあります。有望な従業員や役員が在籍している場合は、むしろ業界のことに明るく、社内外の状況にも精通している自社内の人間に企業を託したほうが良い場合もあるでしょう。

しかし役員や従業員では、株式を譲り受けるための資金が足りず断念するケースも多々あります。

事業承継としてM&Aを行う第三者承継

事業承継と近しいM&Aの考え方を取り入れて行うのが第三者承継です。本記事中でも言及した事業承継型M&Aと同じ意味で使われています。

血縁者でも、自社内の人間でもない第三者に企業を託す第三者承継は、まさにM&Aと同様の手法とも言えるでしょう。事業承継型M&Aを行う理由として多いのは「まわりに後継者候補が見つからない」というもの。自身のネットワークの中に後継者候補となる人材が見つからない場合、事業承継を行いたいと思っても、実施するのは難しくなってしまいます。

そのため、先述した親族内承継や親族外承継ではなく、第三者を後継者候補として迎え入れて企業を譲渡する第三者承継が選ばれるのです。

こうした後継者不在の企業は数多く存在しているため、事業承継を行いたい企業と、後継者になりたい人物とのマッチングを行うサービスも多く登場しています。事業承継に興味があるけれど、後継者候補が見つかっていないという方はぜひマッチングサービスを活用してみると良いでしょう。

関連:事業承継やM&Aで活用したいマッチングプラットフォーム3選丨後継者の不在を解消しよう

このように、一口に事業承継と言ってもその手法は異なります。また、企業によって抱えている問題が異なるため、事業承継の際に専門家が取るべきアプローチも細かく変わっていきます。その上で、大まかな事業承継の流れを把握しておくと、自社が事業承継を行う際のイメージもつかみやすくなるでしょう。

関連:事業承継の全体の流れと難しさ・成功させる5つのポイント

事業承継とM&Aのちがいとは?

事業承継とM&Aのちがいは「経営権を獲得する目的」にあり

事業承継とM&Aの大きなちがいは、ひとえに後継者が「経営権を獲得する目的」にあります。

事業承継の目的はその企業を存続させて次の世代へ託したり、経営者の若返りを図ったりすることです。
他方、M&A(を行う譲り受け企業)の目的は、自社の事業とのシナジー効果やシェアの拡大など、より大きな発展性を持たせることです。

その点、後継者が企業を受け継ぐ目的が異なるといえるでしょう。

また、もう1つの大きなちがいとしては、引き継ぐための準備期間が挙げられます。中小企業庁が発表している事業承継ガイドラインによると、通常の事業承継では5〜10年といった期間をかけて後継者を教育したり、企業の磨き上げを行ったりすることが望ましいとされています。

M&Aの場合はそういった準備が必要ありません。むしろ、最適なマッチングを通して、両社が繁栄できる方法を見つけたり、信頼できるM&A仲介会社を見つけることがキーになります。
こうした点が事業承継とM&Aの大きなちがいと言えるでしょう。

しかし、事業承継とM&Aは、どちらも経営者が交代するという意味では同じ意味を持つと考えられます。

経営者の高齢化を機に事業承継を考えるとき、さきほど解説したように以下の3つの方法に分類されます。
  1. 親族内承継
  2. 役員や従業員への承継
  3. 第三者承継(事業承継型M&A)

この内、後継者不在問題の解決手法として主流になるのが、第三者承継です。第三者承継はM&Aと変わらない点が多いことから、事業承継型M&Aとも呼びます。
本記事でメインで紹介しているのも、この「事業承継型M&A」になります。M&Aのスキームを活用しながら、事業承継の目的である「経営者の若返り」を果たせる手法として非常に注目を集めています。

事業承継型M&Aの目的「経営者の若返り」

「経営者の若返り」で労働生産性や業績が向上

ここで紹介するのは経営者の若返りによって労働生産性や業績が向上する、というデータです。以下のグラフは、M&Aなどの企業再編を行った企業と、行っていない企業の間で労働生産性にどのような差が生じたのかを表したグラフです。


引用:M&Aの効果と課題丨中小企業庁

2010年度の労働生産性を基準値である100とし、オレンジ色の折れ線は「2010年に企業再編を実施した企業」の数値を表しています。M&Aから5年が経過した2015年の時点では、既に労働生産性が大幅に向上しているのが分かりますし、M&Aに取り組んでいない企業と比べると大きな差が開いています。

また、M&Aの実施によって売上や利益といった業績についても好影響が生まれていることが分かっています。以下のグラフをご覧ください。M&Aを実施した企業と、実施を検討した企業、実施も検討もしていない企業の3グループに分けて、売上高(左)と経常利益(右)の変化傾向について調査したものです。


引用:M&Aの効果と課題丨中小企業庁

M&Aを実施した企業は、実施していない他のグループの企業に比べて売上や経常利益の数値が増加傾向にあることが分かります。また、興味深いのはM&Aの実施を「検討した」だけでも「実施、検討をしていない」企業より、売上や経常利益の数値が増加している傾向にあるのです。

このような背景からも、事業承継やM&Aに取り組んで経営者が代替わりすれば、結果として企業の発展性や業績が向上していくと考えられます。

事業承継型M&Aのステップ

事業承継に比べて短い期間で完了するM&Aですが、先述したように「後継者が経営権を獲得する目的」が事業承継とは大きく異なります。そのため、企業を存続させて次世代に託す、という目的でM&Aを検討するのであれば、第三者承継、つまり事業承継型M&Aを行うのが良いでしょう。

全国から有望な後継者候補を見つけられるだけでなく、すでに経営の経験がある後継者候補確保できれば、事業承継よりも短い期間で手続きを完了させられる可能性があります。

事業承継型M&Aには次のようなステップがあります。



ここからは事業承継型M&Aについて、詳しい手順をステップ毎に見ていきましょう。

1. 譲渡する際の条件を決める

事業承継型M&Aを行う際には、自分が事業承継に何を求めているのか明らかにする必要があります。会社を存続させて次の世代へ託したいと思った理由とも言い換えられるでしょう。

譲渡時の条件として頻出するのは従業員の雇用の維持、会社と事業のさらなる発展、自社の株式を譲渡したときに得られる利益などです。
すべての条件を完璧に満たした事業承継M&Aを行えれば理想的です。しかし事業承継M&Aを進めるあたり妥協しなければならない場面も出てくるでしょう。
あらかじめ譲渡にあたって譲れない条件、妥協してもよい条件などを並べて考えておくとスムーズな事業承継を達成するのに役立ちます。

事業承継型M&Aによって得られるメリットは様々ですが、だからこそ、求める条件をいくつも出して、そのなかで優先順位をつけることで整理されていきます。それをもとに今後の交渉を進めていくので、後悔のない選択をするためにも、ぜひ求める条件を考えてみましょう。

2. M&Aアドバイザーへの相談と事業承継の戦略を検討する

M&Aを行う際は、企業の規模によって「マッチングプラットフォーム」か「M&A仲介会社」のいずれかを活用することがほとんどです。どちらを活用する場合でも、信頼できる運営会社でなければ、事業承継型M&Aを成功させることは難しいと言えます。

先述したように、事業承継と一口に言ってもその手法や内情は様々です。大まかなスキームは用意されているとしても、企業ごとに抱えている問題や求めるゴールを解消・達成するためには、豊富な事例を扱ってきた企業や専門家に相談することが必要な場面が多くあります。
M&Aアドバイザーとは譲渡条件のすり合わせや、今後必要となる決算書などの資料の確認、どういう企業に会社を譲りたいか、M&A成立までの全体スケジュールなど事業承継全体の戦略を相談して決めていきます。

3. 譲渡のために必要な資料を収集する

事業承継M&Aの話が進んでいくと、原則としては1社に対して独占交渉権を与える基本合意契約を締結することとなります。
そして基本合意契約を締結した譲り受け側の企業は最終契約を締結する前にデューデリジェンスと呼ばれる監査を行います。

デューデリジェンスの際には財務や法務、労務など会社を構成するすべての資料を相手先に共有していく必要がありますので、そのための準備をしていく必要があります。必要資料はアドバイザーから一覧でもらい前もってそろえていきましょう。

4. 譲り受け候補企業へアプローチする

信頼できるM&Aアドバイザーが見つかったら、相手企業を選ぶ段階に移っていきます。
M&Aアドバイザーからロングリストと呼ばれる、譲り渡し先としてシナジーやニーズがあると考えられる企業リストが提案されます。このリストから交渉NGの企業を削除しさらに絞り込んでから、具体的な交渉へと移っていくのが一般的な流れとなります。

5. トップ面談で相手企業との相性も含めて判断する

事業承継やM&Aで最も重要なステップがトップ面談です。企業を譲り渡す側からすれば、譲り受ける企業の経営者や後継者候補となった方がどのような想いでいるのか、自社との相性は問題なさそうか、といった点を詰めておかないと、満足のいく事業承継やM&Aは果たせません。

トップ面談では、そうした想いの面も含めてすり合わせを行い、譲渡金額や自身や従業員の処遇といった点についても落とし所を見つけることが大切です。

6. 株式を譲渡し経営者として残留・引退する

交渉を終えてお互いに最終合意を果たしたら、譲り渡す側の企業が株式の譲渡を、譲り受ける企業が譲渡代金の支払いを完了させてクロージングに進みます。

M&A時に定められている条項に従って、株式を譲渡した経営者はその後の進退を決めます。一定期間、経営者として残る「ロックアップ条項」などが盛り込まれている場合は、譲渡後も一定期間は退任できないので、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

このようにM&Aの手続きを進めていきますが、いずれもプラットフォームやM&A仲介会社を活用することになると思います。プラットフォームやM&A仲介会社を選ぶ際は、取り扱っている案件数にも注目しながら選ぶことが大切です。

利用者数が多ければ、企業を譲渡する側からすれば望んだ条件で事業承継を完了させられる可能性が増えますし、企業を譲り受ける側からすればたくさんの選択肢の中から受け継ぎたい企業を選べます。

弊社「アイデアルパートナーズ」では、国内最大級のM&Aプラットフォーム”スピードM&A”を運営しているだけでなく、M&Aの専門家が譲渡先の発掘から譲渡完了までのすべての工程をサポートするM&A仲介の業態もカバーしています。経験豊富なM&Aアドバイザーがそろっているので、ぜひ事業承継について気になることや不安なことなどがあればご相談ください。

関連:事業承継やM&Aで活用したいマッチングプラットフォーム3選丨後継者の不在を解消しよう

事業承継型M&Aを成功させるためのカギはたったの3つ

事業承継型M&Aは法令や税制度なども関わってくるため、複雑な手続きに思えますが、事業承継型M&Aを成功させるためのポイントはたった3つだけです。



ここからは、成功に向けて押さえておきたい3つのポイントを詳しく見ていきましょう。

1. マッチングの精度を高めるために信頼できるアドバイザーを見つける

M&Aにおいてはもちろん、事業承継においてもマッチングの精度は非常に重要なポイントです。相手企業との相性が悪かったり、自社にメリットがない相手企業を紹介されたりするとマッチングは失敗してしまいます。

その結果、せっかく会社を引き継いでも思うように経営が立ち行かなくなったり、当初に思い描いていたゴールから離れた状態で契約を締結してしまったりといったデメリットが生じてしまうでしょう。

事業承継やM&Aは、実際に手続きを進めるためにM&Aアドバイザーや仲介会社などに依頼することがほとんどです。相手企業の選別や契約の進行について、アドバイスや協力をしてくれる心強い存在である一方、アドバイザーが経験不足だったり、自社とアドバイザーとの相性が悪かったりすると、一転して事業承継やM&Aの成功率は低下してしまいます。

つまり、信頼できるアドバイザーや仲介会社、プラットフォームを探すことが、事業承継やM&Aの成否のカギを握る重要なポイントになるのです。

2. 自社の強みを可視化して買い手企業へのアピールポイントを見つける

M&Aや事業承継では、契約が締結した後の経営に役立てるためであったり、相手企業の目に止まりやすくしたりするために「自社の強み」を可視化しておくことが重要です。

中小企業や零細企業の場合は、代表のマンパワーで経営基盤や事業のコアが形作られていることが少なくありません。そうした場合はなかなか自社の強みには気づきにくくなってしまいますが、改めて客観視してみると、自社が持つ強みを認識できるようになります。

強みを理解した上でしっかりとアピールポイントに組み込めれば、譲り受けたいと思う企業が増えたり、交渉時に条件を有利に通しやすくなります。M&Aや事業承継を成功させるためには、強みを分析してくれるM&Aアドバイザーとともに自社の理解を深めておくことが大切です。

3. M&A後の経営がスムーズに進むよう買い手企業のリクエストに対応する

事業承継やM&Aによって企業を譲り渡した後や、譲り渡す前に意識しておくべきこととして、企業を譲渡した後の経営がスムーズに進むように買い手企業の要望にできる限り応えられるよう努めましょう。

譲渡時の条件を緩めるという意味ではなく、交渉の段階で誠実な対応を心がけたり、相手企業の状況や要望を聞き入れた上で互いにメリットのある契約になるようサポートするといった点を意識するだけで、譲渡後の経営のハードルは大きく下がります。

また、経営者が交代することに関して社内でも混乱や不安が生じることも鑑みて、情報を開示して良い段階になったら、なるべく混乱や不安を与えないように従業員への周知を行うことも譲渡企業の代表としての務めです。

弊社「アイデアルパートナーズ」は、M&A仲介会社としての事業に加えて、国内最大級のマッチングプラットフォームを運営しており、依頼者にとって最適な選択肢はどれなのか、どのように事業承継を進めていけば良いのか、という点からアドバイスを行う無料相談会を開催しています。

M&Aや事業承継を検討している経営者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

>>無料相談はこちらから

事業承継型M&AにオススメのM&A仲介会社

ここからは、事業承継型M&Aを進める上で活用したい、オススメのM&A仲介会社を厳選して2社ご紹介します。いずれも案件数やアドバイザーの経験といった、事業承継型M&Aを成功させるためのポイントを押さえている仲介会社になるので、ぜひ参考にしてみましょう。

クラリスキャピタル



株式会社クラリスキャピタルは中堅中小企業専門のM&A仲介・コンサルティング会社です。完全成功報酬制を採用し、最低報酬金額も200万円からとリーズナブルな料金体系となっています。価格はリーズナブルですが、支援の内容が薄いわけではありません。

代表取締役社長の牧野安与(まきのあよ)氏はM&Aアドバイザーとして10年以上のキャリアがあり、幅広い知見を持つ少数精鋭のメンバーで事業承継の支援を行っています。

M&Aコンサルティング



株式会社M&Aコンサルティングは「日本が誇る『高い技術力』を次世代に託す」をミッションに掲げ事業承継を支援しています。俳優の高橋英樹さんが同社の名誉顧問を務めていることでも有名です。

着手金や中間報酬、月額費用などがかからない完全成果報酬制を採用し、事業承継をサポートしています。またグループ会社に税理士法人を抱えているため、譲渡後のオーナー経営者の資産運用もサポートまで一気通貫して行うことができるM&A仲介・コンサルティング会社です。

事業承継型M&Aに役立つ補助金や本

事業承継やM&Aにおいてお互いの企業が納得する結果へたどり着くためには、自社や相手企業はもちろん、関係各所からの理解や公的な支援といった周囲を取り巻く要素についても気を配っておく必要があります。

たとえば、M&Aアドバイザーへの報酬にも活用できる事業承継補助金のように、利用できる制度について理解しておくことが大切です。

関連:事業承継やM&Aで活用できる事業承継補助金丨採択率や申請手順、使い方まで解説

また、あらかじめ事業承継やM&Aの全体像や有効な施策を学ぶためには、書籍を通して知識を仕入れておくことも有効です。以下に紹介している記事では、事業承継やM&A初学者にオススメの書籍をジャンル別にまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。



関連:事業承継やM&Aの初学者にオススメの本をジャンル別に紹介!書籍を選びのコツを専門家が解説

事業承継のタイミングに失敗するとどんなリスクがある?


事業承継を成功させるには、取り掛かるタイミングや早めの準備が必要不可欠です。
中小企業庁が発行している事業承継ガイドラインには、”事業承継の準備には 5 年~ 10 年程度を要することから、平均引退年齢が 70 歳前後であることを踏まえると、 60 歳頃には事業承継に向けた準備に着手する必要がある。”と記載されています。

また、事業承継によって経営者の交代が行われた企業と、行われなかった企業では経常利益率に大きな差が生じることが分かっています。

以下の図は事業承継を行った企業と行わなかった企業の経常利益率をグラフにしたものです。2%以上の差が開いていることからも分かる通り、早めに事業承継を果たすことで企業のさらなる飛躍が期待できます。


引用:事業承継ガイドライン丨中小企業庁

さらに、早めに事業承継に関して充分な準備を行うことは、先代経営者と後継者の心の準備を行う面でも重要です。事前にしっかりとした準備が行われなかったために、事業承継が失敗してしまったケースも少なくありません。

ここでは計画的に事業承継に取り組まないまま社長職を 子 に譲ったことで、子の社長職解任に至った事例を紹介します。


ある会社の社長であるa氏は自身が高齢になったため、子供であるb氏に社長の座を渡し、a氏は新たに会長の座に就任しました。このとき、代表権は依然としてa氏が保有したままであり、明確な株式の譲渡時期を取り決めないままでした。b氏は社長として様々な経営革新を行い、結果として業績は改善され、従業員のモチベーションも向上しました。

しかし、代表であるa氏は、経営に関する相談をb氏から持ちかけられなかったことや、古参の従業員からb氏に関する苦言をぶつけられたことによって不満が爆発。臨時の株主総会を開いてb氏を解任してしまいました。

解任後、社内の不和を原因として業績は悪化し、赤字に転落。社外からも突然の社長の解任についての問い合わせが相次ぎ、今後も取引を継続していけるのか不安を募らせてしまいます。この状況を受けて、a氏は「再度社長に就任してもらえないか」とb氏に持ちかけますが、両者の間に生まれた溝は深く、膠着状態が続いています。

参考:早期・計画的な取組ができなかった失敗事例丨事業承継ガイドライン

このように、形式上は事業承継を成功させられたとしても、心の準備や社内の従業員の準備ができていないままでは、事業承継が失敗に終わってしまうことも考えられます。事前にスケジュールを立てておき、入念な準備を進めることが事業承継を成功に導くためのセオリーなのです。

また、経営者が高齢になりすぎてしまうと、事業承継に割く余力がなくなってしまい、そのまま廃業を選んでしまうリスクも生じます。事業承継の準備には5〜10年の期間がかかることを念頭に置いて、早めの準備を心がけましょう。

事業承継型M&AのQ&A

ここからは、事業承継型M&AのQ&Aについて、詳しく見ていきましょう。事業承継型M&Aについて、よく寄せられる質問を抜粋して、一つずつ回答していきます。

中小企業でもM&Aは可能?

中小企業の間でもM&Aの件数は増加傾向にあり、中小企業や零細企業であっても充分にM&Aは可能であると言えます。以下の図は、中小企業のM&A仲介を手掛けている上場企業3社の成約件数をグラフ化したものです。

2012年には157件に留まっていた中小企業のM&A件数も、2017年の時点では526件にまで増加しており、中小企業がM&Aに寄せる需要や供給が高まっていることが見受けられます。


引用:M&Aの現状丨中小企業庁

こうした背景もあり、むしろ中小企業がM&Aに踏み出す契機は年々高まっていると考えられるでしょう。

どのタイミングでM&Aを検討すればいい?

M&Aを検討するタイミングは様々ですが、「自社がどのような課題を抱えており、M&Aに何を期待しているのか」を指標として、タイミングを見計らうのが良いでしょう。

この記事で紹介してきた事業承継型M&Aに着目すると、譲渡企業の目的は「経営者の高齢化による廃業のリスクや、業績の悪化を防ぐこと」にまとめることができます。

そこから逆算すると、M&Aのタイミングは「経営者が快活に動けている期間」であり「高齢による活力低下によって業績が悪化する以前」に行うのがベストです。業績の悪化やそれによる離職などが生じた後だと、M&Aの譲り受け先が少なくなったり、譲渡金額の低下といったリスクを生んでしまいます。業績がよく、これからも伸びしろがある、というタイミングこそM&Aに踏み切る最適なタイミングであると覚えておきましょう。

通常のM&Aにおいても、目的から逆算する形でタイミングを図るのは大切です。たとえば、「競争が激化してきたため、他社との差別化を図りたい」という目的があったとします。この場合、シナジー効果を生み出せそうな企業をM&Aによって獲得すれば、相手企業が持っている強みや経営資源を活用して差別化を図れるでしょう。結果として、激化した競争に打ち勝てる可能性が高まります。

M&Aを行うタイミングは、成否を分ける重要な要素になるので、一人で悩まずに専門家のアドバイスを受けながら一緒に進めていくことが大切です。

関連:会社売却を成功させる3つのポイント~業績・モチベ・市場~

M&A専門業者を選ぶ際の注意点はある?

M&A仲介やプラットフォームの運営を行う会社は増加傾向にあるため「どの会社に依頼すれば良いのか分からない」という声も良く耳にします。M&Aの専門会社を選ぶ際は、以下の要素をチェックしましょう。

譲り受け先企業のデータベースを豊富に抱えているか

M&A仲介会社の提供価値の1つは「マッチング力」です。

両社にシナジーを生むM&Aを実現させるためには、多くの候補の中から最適な相手を選ぶ必要があります。M&A仲介会社が持つデータベースには、「どういう会社が」「どういう意図で」「どういう会社を譲り受けたいか」が集められています。そのデータベースが多ければより良いマッチングが可能となります。

アイデアルパートナーズはプラットフォーム仲介サービスの【ハイブリッド型】のM&A支援を提供している企業です。M&Aプラットフォームの会員は6,000社以上、非公開のデータベースを約1万社保有しています。ぜひお気軽にご相談ください。

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完全成功報酬制の会社には実は注意が必要

M&A完了時のみ報酬が発生する完全成功報酬制を採用するM&A仲介会社も増えています。増加している理由は完全成功報酬制のほうが相談件数が増えるためです。

後継者不在企業の増加により事業承継市場が拡大しているため、異業種からM&A仲介事業の新規参入も増えています。新規参入の企業からすると完全成功報酬制であれば譲渡を希望するオーナーから依頼を受けやすいため、完全成功報酬制を採用している会社があると聞きます。

さらに完全成功報酬制の場合は、大枠での譲渡の合意である基本合意契約において、譲り受け企業がリスクなく契約締結できてしまう点も注意が必要です。

一般的に基本合意以降は、力関係が譲り受け側のほうが強くなる傾向があるため、基本合意契約時に譲り受け側がM&A仲介会社に手数料の一部を支払うほうが良いとされています。譲渡側にとっても基本合意に手数料を払わない譲り受け側と安心して交渉を進められないと思われるオーナーも多いのです。

また譲り受け側企業にとっても、基本合意で譲渡側オーナーが手数料を支払わない料金体系だと、不安に思われる場合があります。譲り受け側企業は基本合意後に会計士への依頼費用など多額の費用を負担して最終的な判断を行います。基本合意で譲渡側オーナーに手数料の支払いがない場合は、「譲渡側オーナーは途中で気が変わってしまうのでは?」という不安から基本合意に至らないこともあります。

M&A成立までにはどれくらいの期間がかかる?

M&Aの成立までにかかる期間は、最初の相談からM&A成立まで半年から1年程度となっています。最初の相談から3年以上経過してから譲り渡し企業が見つかった事例もございますので、なるべく早く事業承継の準備を進めることを推奨しています。

また、最近は弊社のようにオンラインでM&Aを成立させられるサービスも増加しているため、手続きが簡略化しています。M&Aの最中に交わすLOI(≒MOU=基本合意書)といった書面での契約を省略して進めることも多く、半年よりも短い期間でM&Aの契約が締結するケースも散見されます。

マッチングプラットフォーム”スピードM&A”で取り扱うM&Aの場合は、小規模の案件であればクロージングまで平均3ヶ月とさらに短い期間での契約が可能です。M&Aにかけるコストや期間をなるべく少なくしたいとお考えのオーナー様はぜひ弊社へお問い合わせください。

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秘密は守られる?

M&Aは社内外に大きな影響を与える手続きなので、公表するタイミングにはとくに気を使わなければなりません。交渉を行う相手企業はもちろん、相談を行うM&A仲介会社やプラットフォームとの間で秘密が守られることは非常に重要です。

基本的にM&A仲介会社に共有した情報は厳重に取り扱われるため流出する心配は少ないですが、留意すべきはご自身でプラットフォームを利用してM&Aを進められる場合です。

プラットフォームは開示する情報(売上高や従業員数、事業内容など)が少なすぎても反応が悪くなりますし、多すぎると特定されるリスクがあるので、バランスを取るのが難しくなります。また交渉を開始した後に、秘密保持契約を締結している相手とは言え、すべての交渉相手に機密情報を渡すのも情報管理の観点からはオススメできません。

このような観点からM&Aがはじめてという方には、M&Aアドバイザーなど専門家のサポートを受けることを推奨しています。M&Aも成立せず、情報だけが流出したとあっては元も子もありません。

見えない資産を未来へ引き継ぐ事業承継・M&A

大廃業時代の到来を控えた現代において、事業承継やM&Aが持つ価値はどんどん高まっています。事業承継やM&Aは、目に見える資産はもちろん、企業の理念や風土、ブランド力といった目に見えない資産をも未来へ引き継ぐ唯一の手段です。

新型コロナウイルスの影響で廃業を検討する方も多くいらっしゃいますが、廃業を考える前にぜひ事業承継やM&Aについても検討してみませんか。

「事業承継やM&Aに興味があるけれど、自社に買い手が付くのか分からない」「M&Aや事業承継を行った知り合いがいないので不安だ」という方も、秘密を厳守した上で無料でご相談いただけますので、ぜひ弊社のアドバイザーへお問い合わせください。

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売り手様も買い手様も目的に沿った支援を行います
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