DCF法とは、企業が有する資産の価値を算定するための方法です。
Discounted Cash Flowの略で、ディスカウントキャッシュフロー法、キャッシュフロー割引法とも呼ばれます。
企業が将来生み出すと推計されるキャッシュフローからコストを差し引いた値を元に企業を評価します。
DCF法とは
DCF法は、企業の価値を測るための手段であり、M&Aにおいても頻繁に利用されます。
対象となる事業によって将来的に得られる収入を現在の価値に換算し利益とする考えがベースとなっています。
また、企業を事業と事業以外の資産に分けて評価するのが特徴です。
事業の価値を将来的なキャッシュフローで評価し、それ以外はその時点での価値で評価します。
それぞれを合算したものを企業の価値と考えるのです。
ただし、計算に用いる要素が正しい基準ではないため、
計算する個人によってばらつきが生じることも多く、絶対的な値ではありません。
DCF法の計算方法
DCF法による事業価値は以下の式で求められます。
DCF法による事業価値 = 企業が生み出すFCF(フリーキャッシュフロー)の期待値を加重平均資本コスト(WACC)で割り引いた現在価値
DCFの算出には、まずFCF(フリーキャッシュフロー)を求める必要があります。
FCFは、ビジネスによって得られる利益から投資に利用される額を差し引いたものです。
また、WACC(資本コスト)とは、一円の資金を調達するためにどれだけのコストがかかっているのかを示すものです。
事業価値は以下の式で求められます。
事業価値=将来的なFCF÷割引率(WACC)
例えば、将来的なFCFが1億円、WACCが5パーセントの場合は、1億円÷5=20億円 となります。
ここでの将来的なFCFとは、およそ3〜5年先のあるべき数値を予想し、それ以降は継続価値として算出したものです。
継続価値は以下の式で求められます。
継続価値=最終年度のFCF×(1+成長率)÷割引率-成長率)
割引率には様々な値が利用されますが、WACCを当てはめるのが一般的です。
DCF法の利点と欠点
利点 : 具体的な額で企業の価値を測れる
値を正確に設定できれば、非常に具体的に企業の価値を算定できるため、
買収や合併、株式投資をするときの企業評価に役立ちます。
欠点 : 値が正確でない可能性がある
計算に用いられる数字はあくまでも予測であり、絶対的なものではありません。
そのため、出した値が実際の数字とは大きく異なるリスクがあります。
要点のおさらい
- DCF法とは、事業が将来的に生み出すキャッシュフローを現在の価値に変換して企業の価値を測る方法です。
- DCF法で求める事業価値は、将来的なキャッシュフローを割引率で割ることで算出されます。
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計算により具体的な金額を算出できるのが利点ですが、あくまで予測値であり正確性に欠ける場合があります。