ビジネスDDとは、企業の事業面におけるデューデリジェンスのことを指します。
対象となる企業の経営実態を把握することが最大の目的です。
市場全体の動向や対象企業の立ち位置だけでなく見込まれるシナジー効果も分析され、事業の将来性が見極められます。
ビジネスDDの解説
M&Aを行う際は、売り手企業の価値や取り引きに伴うリスクをあらかじめ把握したうえで判断を下す必要があります。
この手続きをデューデリジェンスと呼び、財務や税務、人事、環境など様々な切り口があります。
その中でも、企業の事業内容に直結する分野におけるデューデリジェンスがビジネスDDです。
具体的には、売り手企業が提供する商品やサービス、営業やマーケティングのビジネスモデルなどが挙げられます。
合併や買収の場合は、シナジー効果も重視される項目です。
また、統合に付随するリスクの調査はもちろん、競合他社と比較した際の立ち位置や市場の動向も測られます。
ビジネスDDの手法
内部環境に関する調査
VRIOフレームワークとバリューチェーンモデルが手法として挙げられます。
前者は経済価値、希少性、模倣困難性、組織の四つの観点から企業を把握するための手段です。
後者は、価値を創造するために採る行動は支援活動と主要活動に分けられ、
それぞれが噛み合うことでシナジー効果が期待できるとする考え方です。
これらを用いることで、対象となる企業の強みを理解できます。
外部環境に関する調査
PEST分析と5フォース分析が代表的な方法です。
前者は政治、経済、社会、技術の四つの視点から対象企業を評価するフレームワークです。
後者の方法では、新規参入、競合、代替品、供給者、購入者の五つの項目を参照します。
これらは、企業が安定した利益を上げ続けるために特に重要とされる要素です。
経営状況を把握するために役立ちます。
ビジネスDDに関する注意点
シナジー効果に直結する
合併や買収では、どれだけのシナジーを生み出せるかが最重要事項です。
そのため、売り手企業のビジネスモデルはM&Aに大きな影響を与えます。
また、PMI(M&A後での統合プロセス)でも参照されます。
M&A後に想定されるリスクや、自分たちが今後どのようなビジネスを展開したいのかを具体化することが必要です。
要点のおさらい
- ビジネスDDとは、企業の事業面におけるデューデリジェンスのことで、経営の実態を把握するために行われます。
- 主に内部環境と外部環境の二つの観点から、適切なフレームワークを用いて対象企業を分析します。
- ビジネスDDの内容はシナジー効果などM&Aの結果に大きな影響を与えるため、最も重要な項目の一つです。