EVとはEnterprise Valueの略で、日本語では企業価値と訳されるのが一般的です。
具体的には現在、会社全体が有する価値を指しますが、企業を買収する際に必要な資金の実質額を指すこともあります。
時価総額に有利子負債を加えた値から買収後に得る金額を差し引いて求めます。
EVの解説
EVは企業価値と訳されますが、その定義は人によって異なる部分もあり少し曖昧です。
経済産業省はEVを「会社の財産、収益力、安定性、効率性、成長力等株主の利益に資する会社の属性またはその程度」と定義しています。
EVを企業価値ではなく、その企業が持っている事業価値とする見方もあります。
目に見える資産だけでなく、知的財産やブランド力といった目に見えない資産も企業価値の一部として考えられるのは重要なポイントです。
一般的には、この定義に則って、M&Aを行う際や事業に投資する際の判断材料として利用されます。
EVの計算方法
EVを具体的な額で表したい場合は、その企業を買収する際に必要な資金を計算します。
その場合のEVは以下の式で算出されます。
EV=株式時価総額(株価×発行済み株式数)+有利子負債-現預金
時価総額と借りた資金の返済に必要な額を足した金額から、現在会社にある現預金を差し引いたものが、その会社を買収するのにかかる資金とする考え方です。
例えばA社の株価が1,000円、発行済み株式数が3万株、有利子負債が1億円、現預金が5,000万円だと仮定します。
この場合のEVは、(1,000円×3万株)+1億円-5,000万円=8,000万円となり、A社を買収するには8,000万円が必要だと言うことが分かります。
EVとEBITDA
よくEVとともに用いられるものとして、EBITDAがあります。
EBITDAは、対象企業の収益性を評価する際に利用される指標で、現金を稼ぐ力がその企業にどれだけ備わっているかがベースとなっています。
EVをEBITDAで割ることにより、企業を買収したとき、何年でその資金を回収できるかを算出できます。
この値は国によって異なる税率や会計制度の影響を受けないため、海外と日本の株価を比較する際の尺度として広く用いられています。
要点のおさらい
- EVとはその時点で企業が持っている価値全体のことで、M&Aや事業投資を行う際の判断材料として利用されます。
- EVを求める際は、その企業を買収するとしたらいくらかかるかを考えて、株式時価総額と有利子負債を足した値から現預金を引いて求めます。
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EVをEBITDAで割れば、企業の買収に要した資金が何年で回収できるかを把握できます。