のれん代とは貸借対照表(BS)において計上される項目の一つです。
具体的には、売り手企業の純資産と実際につけられた買収価格の差額を指します。
M&Aでは企業が持つ目に見えない資産を考慮に入れて価格を決定することが多いため、差額が発生することが一般的です。
のれん代の解説
買収される企業の価値を求めるには、まず資産から負債を差し引いた値を時価に換算します。
この値をベースに買収価格が決定されるのです。
のれんとは、企業が持つブランド力や社会からの信用といったお金に変えられない資産のことで、このような資産を無形資産と呼びます。
M&Aでは、無形資産の価値も評価に入れるケースが多いです。
無形資産はシナジーを生み出すことに繋がり、将来的に収益を上げる要因となるためです。
この場合、純資産額と実際の売却価格には差が生じます。
この差額がのれん代です。
買い手企業はM&Aが成立するとこの値を貸借対照表に計上します。
のれん代の償却
償却とは、長期間に渡って利用できる資産を購入した際、購入にかかった費用を利用期間で割って経費に反映させるやり方です。
例えば機械を購入した場合を考えると、買った時点での価値と5年後の価値には差が生じます言い換えれば、
買った際に支払った価格と、5年後に売る際の価格は同じはないということです。
のれんも同じように、時間の経過に伴って少しずつその価値が下がるものと見なされます。
そのため日本の会計基準では、のれん代を特定の期間で分割しながら組み入れます。
投資した資金を回収するまでにかかる期間をそれぞれの企業が見積もり、期間が決定されます。
一方、国際的な会計基準であるIFRSではのれんの償却が行われません。
採用する基準によって扱い方が異なることは把握しておくべき点です。
のれん代に関する注意点
計上方法が異なる場合がある
一般的に、M&Aにおいては買収価格が純資産額よりも高くなります。
ところが、この関係が逆転しのれん代がマイナスになるケースもあります。
これを負ののれんと呼び、一括でまとめて収益として計上することが定められています。
通常ののれんは一定額ずつ償却し帳簿に記載します。
種類によって処理の仕方が異なる点には注意が必要です。
要点のおさらい
- のれん代とは、実際の売却価格と買収される企業の純資産額の間に発生する差額を指します。
- 日本の会計基準においては、のれん代が一定の期間で償却されると決められているのに対し、国際会計基準では償却されません。
- 通常ののれん代と負ののれん代で反映の方法が異なる点は押さえておくべきポイントと言えます。