EBITDAとは、Earnings Before interest Taxes Depreciation and Amortizationの略です。
具体的には、税が引かれる前の営業利益に減価償却費を足した値のことを指します。
現金ベースの評価指標であるため、資金繰りの際に参考にされることが多いです。
M&Aにおいては、企業価値を評価する指標として利用されます。
EBITDAの解説
EBITDAは営業利益に減価償却費(長期間にわたって利用する設備を購入した際に、かかった金額を耐用年数で割って求めた費用)を加えて求めます。
減価償却費は帳簿には計上されますが、実際に現金が動いているわけではありません。
そのためEBITDAは、その企業が、資本に対してどれだけのキャッシュフロー(現金の流れ・収支)を生み出したかを示しているのです。
EBITDAが積極的に利用される場面もあります。
例えば、日本と海外では税率や会計制度が異なります。
EBITDAはそれらを排除して収益を算出しているため、海外の企業との収益性を比較する際に有効です。
さらに、EBITDAは減価償却費を差し引く前の利益を示すという特徴があるため、設備投資額の大きい企業の収益性を評価する際にも用いられます。
EBITDAの計算方法
EBITDAは、以下の式で算出されます。
EBITDA=営業利益+減価償却費
営業利益とは、企業が本業で稼いだ利益のことを指し、売り上げの総利益から販売費と管理費を差し引いて求めます。
減価償却とは会計上のルールで、企業が建物や機械設備などの固定資産を購入した際、その全額をすぐさま経費に計上するのではなく、利用期間で分割して計算する仕組みです。
減価償却の対象となるのは、時間の経過や使用によって少しずつ価値が薄れるものとされています。
減価償却費を求める方法としては、毎年決まった額を計上する定額法と、初年度に大きな額で計上した後に徐々に減少させる定率法があります。
例えば、耐用年数が4年の機械を200万円で購入したと仮定します。
定額法の場合は200÷4=5年に分けて経費に計上します。
定率法では、償却率を0.5と仮定すると初年度に計上する額は200×0.5=100万円です。
2年目は、購入価格である200万円から100万円を差し引いた100万円に償却率0.5を掛けます。
2年目の計上額は100×0.5=50万円、三年目は50×0.5=25万円と続きます。
EBITDAとEBITの違い
スタートアップや新興のベンチャー企業であれば、事業を成長させるために借入金の額が大きくなることがあります。
この場合に、借入金の支払い利息を除いて判断することで、事業経営そのものの状況を捉えられるのがEBITです。
減価償却費を利益計算に加えるかどうかがEBITDAとEBITの違いと言えるでしょう。
要点のおさらい
- EBITDAとは、キャッシュフローをベースに企業の利益を捉える指標であり、海外企業との収益性の比較や設備投資額の大きい企業の収益性評価に利用されます。
- EBITDAは営業利益に減価償却費を加えて算出できます。
- EBITは借入金の支払い利息を除いた企業の利益のことで、EBITDAとの違いは、減価償却費が利益計算に加えられていない点です。