役員退職慰労金とは、取締役や監査役が役員を退職する際に支給される退職金を指します。
役員退職慰労金の支払いは株主総会での決議事項であり、株主の承認が必要です。
成果に連動していないことや支給額の不透明感を理由に、廃止する企業が増加傾向にあります。
役員退職慰労金の解説
役員は、会社から経営を委託されているため、一般の従業員とは異なり雇用関係がなく、退職金が存在しないのです。
そのため、役員に対しての退職金として、在籍期間と会社への貢献度に応じて支払われるのです。
日本の上場企業の大半は、個別役員の退職金を公表していません。
そのため、算定基準が不透明だとの声が上がり、株主が役員退職慰労金の支払いに反対するケースが増加していました。
さらに近年では、政府がコーポレートガバナンスコードの制定に動いたことで、役員退職慰労金への風当たりが強まっています。
役員退職慰労金の計算方法
役員退職慰労金の適性額は以下の計算式で求められます。
適正額=最終月額報酬×勤続年数×功績倍率
功績倍率は企業が自由に設定できますが、
よく用いられる例としては、社長は3.0、専務と常務は2.5、監査役は2.0という数値が挙げられます。
例えば、月額報酬が100万円、勤続年数が20年の専務がいると仮定します。
この役員の役員退職慰労金は以下の式で算出できます。
適性額=100万円×20年×2.5=5,000万円
役員退職慰労金の支払いに必要な手続き
株主総会での決議
会社法上、役員退職慰労金を支払うためには、株主総会での決議が必要です。
具体的な金額や計算方法について定めます。
株主総会での決議がないと会社法に則った退職慰労金として認められないため、損金算入ができません。
規定を整備しておく
株主総会で決定した内容を退職慰労金規定に明文化しておくと安心です。
税務署から調査が入った場合も、適切な基準に基づいて支払いを行ったことを証明することが可能です。
要点のおさらい
- 役員退職慰労金とは役員が退職する際に支払われる退職金のことであり、支払いには株主の承認が必要です。
- 役員退職慰労金の適性額は最終月額報酬×勤続年数×功績倍率で求められます。
- 株主総会での決議を可決することに加え、株主総会での決定事項を明文化しておくことが必要な手続きとして挙げられます。