IFRSとはInternational Financial Reporting Standardsの略で、国際会計基準と訳されます。
グローバル化の進展に伴って、各国ごとに異なる会計基準を統一する必要があるとして設定され、2005年からEU諸国において適用されました。
現在では世界120カ国以上で採用されており、日本でも広まりつつあります。
IFRSの解説
IFRSは世界共通の会計基準を目的として設定されました。
その背景には、グローバル化が急速に進展したことで他国籍の企業との比較が避けられない状況に陥ったことがあります。
現在では世界120カ国以上の上場企業に強制的に適用されていますが、
巨大な市場を有する先進国である米国と日本は未だ強制適用に至っていないのが現状です。
日本では、2015年から矯正適用が打ち出されていましたが、国内企業からの反対もあり実現しませんでした。
しかし、2018年8月時点での適用済み企業は178社とのデータもあり、この流れは今後も広まっていくと考えられています。
IFRSと日本の基準の違い
原則主義である
IFRSは原則主義を採用しています。
詳細な規定や基準となる数値がほとんど示されておらず自由度が高い分、解釈の根拠を示さなくてはならないため、大量の注記が必要となります。
日本基準は基準や指針が細かく定められているので、これは大きな違いでしょう。
貸借対照表を重視する
IFRSは資産と負債の差である純資産を利益として捉える考えを採用しており、貸借対照表を重視します。
一方日本は、収益と費用の差である純利益を利益として計上します。
企業の収益力を重視するか、企業の成長力を重視するかが異なるのです。
グローバル基準である
IFRSは国際基準であるため、議論や定義も全て英語で行われます。
また、税務制度など各国の独自性は考慮されません。
IFRSを導入する利点と欠点
利点:海外の子会社との連携が強化できる、海外投資家への説明が簡単になる
海外に子会社を有する企業の場合は、日本にある親会社と子会社の会計基準を統一することはスムーズな企業経営に有効です。
また、海外の企業や投資家は国際基準であるIFRSを読むのに慣れています。
IFRSを利用することで自社の現状をより正確に伝えられるため、資金調達が容易になる効果も期待できます。
欠点:制度自体が複雑である
IFRSは制度自体が複雑で理解しがたいのに加え、英語での解釈が必要となります。
また、規定が改訂される頻度が高いため事務処理のコストがかかるのもデメリットです。
要点のおさらい
- IFRSは国際会計基準のことで、グローバル化に伴い統一された会計基準が必要となったため制定されました。
- IFRSの特徴である原則主義、貸借対照表の重視、グローバル基準は日本の会計基準とは全く異なります。
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IFRSは海外子会社との連携や資金調達を容易にしますが、制度自体の難解さや必要コストは導入を妨げる大きな要因と言えます。