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M&Aコラム

COLUMN

システム開発会社のM&A丨押さえたいポイントや動向からM&Aを読み解く

深刻な人材不足や競争の激化によって、IT・ソフトウェア業界の中小企業がM&Aへ乗り出し始めています。資本力の増強や従業員、後継者の獲得など、M&Aによって得られるメリットは数多く存在し、多くの企業を苦境から救う手法になると期待されているのです。この記事では、業界の動向や特徴、事例に着目しながら、ITやソフトウェア業界がM&Aに取り組むメリットについて詳しく解説します。

IT・ソフトウェア業界の動向や特徴

オーナー経営者IT・ソフトウェア業界に身を置いているけど、どうしてM&Aがこんなに注目されているんだろう?

編集部動きの激しいIT・ソフトウェア業界では、業界全体でいくつもの課題が存在しています。
それらを解決する上でM&Aが期待されている、というイメージでしょうか。
まずは業界の動向や特徴を詳しく見ていきましょう

まずはIT・ソフトウェア業界の動向や特徴について詳しく見ていきましょう。

ポイントは、大きく以下の3点に集約されます。

  • 2030年には79万人のエンジニアが不足する
  • 人材育成や事業への投資が難しい
  • 先端技術への人員流出


それぞれのポイントに焦点を当てて、詳しく見ていきましょう。

2030年には79万人のエンジニアが不足する見込み

経産省が算出したデータによれば、このままIT業界で人材への需要が上昇し続けた場合、高位シナリオ(最も需要が高い場合)では2030年の時点で79万人のエンジニアが不足すると分かっています。中位シナリオでも45万人、低位シナリオでも16万人が不足すると見込まれており、ITニーズが拡大していくことで、IT業界における人材不足の影響はさらに強まると予測されているのです。

※各シナリオ
高位シナリオ(需要の伸び:約3〜9%)
中位シナリオ(需要の伸び:約2〜5%)
低位シナリオ(需要の伸び:1%)


また、付随する懸念点として「労働生産性の向上率」も論点になっています。上図のシナリオは労働生産性が0.7%ずつ向上することを前提としたものです。すなわち労働生産性がそれを超える上がり幅を見せれば、需要と供給のバランスは均衡することになります。

その上で問題となるのが、日本のIT業界における労働生産性の向上率の低さです。以下の図表は各国のIT業界を比較対象とした「労働生産性の向上率」を指しています。

米国やドイツ、フランスといった他国と比べて、我が国の労働生産性向上率は非常に低い数値に留まっています。

これらの結果から、IT業界の課題を解決するためには、人材の充足だけでなく「人材の労働生産性を高める」ことにも目を向けることが大切と考えられます。

人材の育成や事業への投資が難しい

人材の労働生産性を高めるという点において、IT業界では、人材の育成や事業への投資に取り組みにくい、という特徴があります。

多重下請け構造によって、下流工程で業務を請け負っている企業や事業者は価格競争に巻き込まれやすく、結果として人材の能力を向上させたり、新規事業への投資に資本を投下したりといった活動に取り組めないケースが少なくありません。

先端技術へ人材が流出してしまう

近年IT業界の中でも台頭してきているAIやビッグデータ、IoTといった先端技術の分野への人材流出もIT業界の動向としては大きなトピックでしょう。

以下のグラフは、経産省が従来型ITシステムの受託開発、保守・運用サービス等を行う市場を「従来型IT市場」、AIやIoTを活用する市場を「先端IT市場」と定義し、それぞれの市場の伸びを予測したものです。

引用:IT人材需給に関する調査│経済産業省


着目すべきは先端IT市場の伸び率だけでなく、従来型IT市場の市場規模の縮小です。2030年の時点では、2015年の規模の半分近くまで規模が縮小してしまっています。

ポイントは、市場規模が減少しているにも関わらず、先述したように79万人ものエンジニアが不足してしまう可能性がある、という点です。通常であれば、市場が縮小した分だけニーズが減少して人材不足も解消されていくはずですが、そうならずにエンジニア不足に陥ると見込まれています。

その背景には、先端IT市場への人材の流出という避けられない課題が存在します。待遇や、やりがいといった面で先端IT市場を選ぶ人材は今後も増加していくでしょう。さらに、先端ITの技術者育成に注力する企業も多く、現在は1.1万人程度と試算されている先端IT人材が、2030年には12万人規模にまで増加すると予測されています。

こうした先端IT市場への人材流出も、IT業界全体を取り巻く大きな動向の一つと考えられるでしょう。

M&AによってIT・ソフトウェア業界の問題を解決する

オーナー経営者業界の構造や課題について改めて整理できたよ。
M&Aによって具体的にどう解決できるんだい?

編集部M&Aは単なる企業の吸収合併と思われがちですが、実際には会社経営にまつわる様々な課題を解決できる1つの経営手法です。
IT業界が直面している課題をM&Aでどのように解決できるのか見ていきましょう。

先ほど解説した人材不足に加えて、人材の育成や事業への投資に取り組みにくい、という課題を解決するためにM&Aは非常に有効な手段です。譲渡企業にとっても、譲受企業にとってもメリットが生まれやすく、M&AはIT業界の生存戦略に欠かせない選択肢になりつつあります。

多重下請けから脱却すべく大手の傘下に入る

IT業界の問題点として、多重下請け構造になりやすいという特徴が挙げられます。技術者が育ちにくく、自社の事業へ投資しにくいという課題はこの構造によるところも大きく、業界全体を取り巻くやっかいな問題と言えるでしょう。

また、構造の問題から、クライアントとのパワーバランスも偏りやすく、自社の思うように交渉が進められないケースも少なくありません。そのまま価格競争に巻き込まれてしまうと、財政的な安定を優先せざるを得なくなり、人材を育成する余裕が持てなかったり、結果として自社の未来へつながる事業に投資できなかったりという負のループへとつながっていきます。

こうした不安定な状況を脱するべくM&Aを活用して大手企業の傘下に入る中小企業も少なくありません。安定した資本のもと、自社が保有している技術力や強みを活かして新規事業へ投資したり、人材の育成に注力したりといった成長戦略を描きやすくなるでしょう。このような目的を持ってM&Aを行い、企業を譲渡するケースも存在します。

経営基盤を強化して業界内での競争力を高める

ITの市場は隆盛していますが、その一方で、競争が激化しているとも考えられます。技術力や価格といった点で競争を行いますが、ライバル企業との戦いに打ち勝つには安定した資本力が必要です。

その点においても、M&Aは魅力的な選択肢と言えます。自社だけでは競争力が担保できない中小企業や零細企業であっても、同業他社とM&Aや資本業務提携を行うことで、安定した資本力を手に入れられるのです。もちろん、先述したように大手企業の傘下に入るという意味でのM&Aも多くありますが、同程度の規模の企業同士でM&Aに臨むケースも散見されています。

このように、他社と共同歩調を取ったり、他社を譲り受けたりすることで業界内での競争力を高め、さらなる自社の発展に繋げようと考える企業も少なくありません。

M&Aによるシナジー効果が見込める

M&Aの最大の魅力は、別の企業の事業や人材を取り入れることで生まれるシナジー効果です。自社がもともと営んでいた事業とM&Aによって譲り受けた事業や人材が組み合わさることで、さらに高い価値を生み出したり、異なる分野へ価値を転換したりといった様々なメリットが享受できます。

また、SES企業の譲受を検討している企業様はこちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

SES企業をM&Aする前に押さえておきたい4つの注意点と事例3選

近年は、異業種の企業がIT業界の企業をM&Aによって取得するケースも少なくありません。自社がM&Aによってどのようなメリットを得られるのか、改めて考えてみるのも良いでしょう。

IT・ソフトウェア業界でM&A事例を紹介

編集部M&Aのメリットについて、ご理解いただけましたか?

オーナー経営者ありがとう。
自社に置き換えて考えてみたいんだけど、事例とかってあるのかな?

編集部もちろんです。参考になるものを5つ集めてみましたので、自社と照らし合わせながら考えてみましょう

ITやソフトウェア業界のM&A事例の中でも、特徴のある事例を5つピックアップしています。ここからは、具体的な事例をもとにIT業界のM&Aについて詳しく読み解いていきましょう。

クロスキャットがアクティブを子会社化

2020年9月には、行政や金融、流通など幅広い分野を対象にシステム開発を手掛けてきたクロスキャットが、株式会社アクティブの全株式を取得して子会社としています。

アクティブが保有している技術や顧客基盤を活かしつつ、経営資源を相互に活用することでシナジー効果を創出することが狙いです。

直近3年間のアクティブが順調に売り上げを伸ばしていたことから、お互いにとって今後のさらなる発展に向けて手を取り合ったM&A事例であると考えられます。

参考:株式会社アクティブの株式取得(子会社化)に関するお知らせ│株式会社クロスキャット

関電システムソリューションズがパシフィックビジネスコンサルティングを子会社化

2018年4月には、関西電力のグループ企業である関電システムソリューションズが、東京に拠点を置くパシフィックビジネスコンサルティングの全株式を取得し、子会社としています。

パシフィックビジネスコンサルティングは、主力製品である「Microsoft Dynamics NAV」や「Dynamics 365 for Finance & Operations」、「Dynamics 365 for Sales」の販売をさらに強化し、企業の成長を見越してM&Aを行いました。

また、両社が籍を置く関西と東京という2つの拠点を活かして相互補完を行ったり、親会社となる関電のブランド力を活かしたりといったシナジー効果も期待できます。

参考:関電システムソリューションズによるパシフィックビジネスコンサルティングの全株式取得について│パシフィックビジネスコンサルティング

船井総研ホールディングスが新和コンピューターサービスを子会社化

2018年6月には、株式会社船井総研ホールディングスがシステム開発会社である新和コンピューターサービスの全株式を取得し、完全子会社化を果たしています。

新和コンピューターサービスは技術力や開発力に定評のある企業で、人材の育成にも力を居れていました。

いっぽう、親会社となった船井総研ホールディングスは「中小企業のデジタル化支援」に注力しており、技術力や開発力を持つ新和コンピューターサービスは同社のデジタルシフトの要として機能していくと見られます。

システム開発会社のM&A事例の中には、このように規模の大きな企業同士のM&Aも数多く存在するので、ぜひ自社のケースに置き換えながら読み解いていきましょう。

夢真ホールディングスがアローインフォメーションを子会社化

株式会社夢真ホールディングスは、2020年4月にアローインフォメーションの全株式を取得し、子会社化に成功しています。夢真ホールディングスは建設技術者派遣事業を主力に置いていますが、もう一つの事業の軸として、人材不足が叫ばれるIT市場においてもエンジニア派遣事業を展開しているのです。

一方のアローインフォメーションは、Java系のエンジニアを中心に200名ほどの従業員が在籍しており、夢真ホールディングスのエンジニア派遣事業をさらに発展させる上で欠かせない「IT人材の育成」へ寄与するために、今回M&Aが成立したと考えられます。

参考:代表挨拶│株式会社アローインフォメーション

ナレッジスイートがフジソフトサービスを子会社化

社員のノウハウ共有や生産性向上、働き方改革を推進するためのクラウドサービスを提供しているナレッジスイートは、2018年6月にフジソフトサービスの全株式を取得しました。

フジソフトサービスは高い技術力を武器にSES事業を展開してきた企業です。優秀な技術者を多数抱えている同社の株式を取得することで、ナレッジスイートは先端IT市場の拡大に向けて、先端IT技術者の教育や拡充、研究開発力を推進したいという狙いがあります。

単なる人材確保にとどまったM&Aではなく、来たる深刻なエンジニア不足や先端IT市場の拡大を見越したM&Aの動きは今後より活発になっていくと見られ、このようなM&A事例も増加していくと考えられるでしょう。

参考:システムエンジニアリングサービスを提供する株式会社フジソフトサービスの全株式取得

IT・ソフトウェア業界でM&Aを行う際に気をつけたいポイント

IT・ソフトウェア業界を取り巻く状況や数々の事例を紹介してきましたが、これらを把握した上で、これからM&Aを行おうと考えている企業様もいらっしゃるでしょう。ここからは、IT・ソフトウェア業界でM&Aを行う際に気を付けておきたいポイントを詳しくご紹介します。大きく2つの注意点が存在するので、ぜひM&Aに臨む前に押さえておきましょう。
  • IT・ソフトウェア業界のM&Aで気をつけたいポイント
  • 自社のノウハウや技術と買収意図がマッチしている
  • IT領域に強いアドバイザーと協力する

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

自社のノウハウや技術が譲受企業の買収意図とマッチしているか

事例でも紹介してきた通り、譲受企業がM&Aによって得られるメリットは様々です。つまり、M&Aを成功させるためには、「自社のどのような点が強みなのか」「それはどの企業に魅力的に映るのか」という点が非常に大切になります。

さらにIT・ソフトウェア業界のM&Aでは譲り受け企業の求めている条件と、自社が保有しているエンジニアが得意な領域や言語、開発環境が合致するのかという点も重要な視点です。

M&Aで企業を売却しようと考えている経営者の方からは、よく「売上や利益が重要なのでは?」という疑問が寄せられますが、重要なのは目に見えるメリットだけではありません。

売上や利益が小さくとも、保有しているノウハウやスキル、人材が魅力的であれば、それらの見えない資産が価値となってM&Aの譲渡価格に「のれん代」が上乗せされるケースも少なくないのです。

のれん代が上乗せされれば、資産や営業利益を譲渡価格に組み込んだ上で、それよりも高い価格で企業を譲渡できます。つまり、株式の譲渡所得を得られるだけでなく、安定した経営基盤でさらなる発展を目指していける、というメリットが得られるのです。

その上で、企業を譲渡しようと考えた際に覚えておきたいポイントは、相手企業の買収意図を把握することでしょう。そのためには、IT・ソフトウェア業界の状況を把握することはもちろん、今後の市場予測や同業他社との比較検討も欠かせません。

そこでおすすめなのが、次の章で紹介している「IT領域に強いM&Aアドバイザー」に依頼することです。

IT領域に強いM&Aアドバイザーに依頼する

近年はどの業種でも盛んにM&Aが行われるようになり、M&A仲介会社に在籍するM&Aアドバイザーにも各領域への専門性が必要とされています。その業界に明るくないM&Aアドバイザーでは、譲渡価格が妥当か否かを判断したり、M&Aスキームについての具体的な提案を行うことも難しくなってしまうでしょう。

ITやソフトウェア業界でのM&Aに多く携わっており、実績も豊富なM&Aアドバイザーに依頼することで、自社の意向を踏まえた最適なM&Aが実現しやすくなります。つまり、M&AアドバイザーやM&A仲介会社を選ぶステップが、その後のM&Aの成否を分けるといっても過言ではありません。

IT・ソフトウェア業界ではますますM&Aが重視されていく

M&Aへの意欲が高まり続けているIT・ソフトウェア業界。なかには、ここまで解説してきたM&Aのメリットだけでなく、後継者不在のため、事業承継の手段としてM&Aを検討している経営者様もいらっしゃることでしょう。

人材の不足や市場の変遷など、業界を取り巻く様々な社内外の状況に対応するためにも、M&Aは非常に有効な手段です。この記事を参考に、ぜひ自社がM&Aに取り組むイメージを膨らませてみてはいかがでしょうか。

M&A総合支援のアイデアルパートナーズは、M&Aプラットフォーム”スピードM&A”を運営しています。またシステム開発会社の経営経験のあるアドバイザーが在籍しており、IT領域に強いM&A仲介サービスです。無料相談会を実施していますのでお気軽にご相談ください。

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