「経営について考え続けるのがきつい…M&Aで調剤薬局を売ることは本当にできるのだろうか?」
「業界でM&Aが増えているらしいけど、調剤薬局の売却はどのような流れで進むのだろう?」
昨今、調剤薬局業界における再編の動きが活発化しています。
現に多くの薬局オーナーがM&Aを利用して事業を売却し、第二の人生をスタートさせているのです。
しかし、あなたが実際にM&Aに臨むことを想像すると、全体の流れ、事業を譲渡する方法、手数料がいくらになるのか、など様々な疑問が生まれますよね。
そこで今回の記事では、
- どのような薬局オーナーがM&Aを決断しているのか
- 調剤薬局のM&Aのカンタンな流れ
- 事業を譲渡する2つの手法
- M&A後の従業員の処遇
- 調剤薬局のM&Aを成功させる3つのポイント
について解説します。
この記事を読むことで、霧が晴れるようにして調剤薬局のM&Aの全体像をつかむことができます。
M&Aを一つの選択肢として、薬局とあなた、そして従業員にとってより良い未来を検討していきましょう。
調剤薬局のM&Aを決断するオーナーの3つの背景
はじめにM&Aを決断している調剤薬局の売り手側のオーナーの背景についてみていきましょう。
あなたと同様、多くのオーナーにとって自らの薬局を売却するということは抵抗の伴う行為です。
しかし、主に以下の3つの背景から事業を売却することがもっとも適切な選択となる場合があります。
- 薬局オーナーが事業の売却を決断する3つの背景
- 事業を続けることのできない理由がある
- 薬局を潰したくないという想いがある
- 親族もしくは役員に事業を譲渡するのが難しい
それこそ一昔前ならば、当然のように息子が事業を継いでいましたが、現代においてはそれも難しくなっています。
このように複雑な思いがからみあった結果、売却という選択をするオーナーもいるのです。
以下では、それぞれの背景について詳しく確認していきましょう。
事業を続けることのできない理由がある
事業を続けることができなくなる理由としては、主に以下の4つが挙げられます。
- 高齢
- 病気
- 経営難
- 新しいことへのチャンレンジがしたいため
いずれもオーナーに大きなプレッシャーを感じさせるものでしょう。
昨今は調剤薬局のオーナーの高齢化も進んでいるため、M&Aがより活発になっています。
また薬剤師不足よって労働力を確保することが難しくなり、人材不足による経営難に陥る薬局も少なくありません。
こういった理由から事業を手放すか、もしくは店をたたむことで資金繰りや売上に頭を悩ませずにセカンドライフを過ごしたいと考えるオーナーが多いのですね。
ここまで続けてきた薬局だから潰したくない
前述したように経営から手を引きたいと考えた場合であっても、オーナーの中には強い葛藤が生まれます。
それは以下の2つに基づく場合が多くなります。
- 頑張って続けてきた薬局への愛着
- 通ってくれる顧客、働いてくれる従業員に対する責任感
特に顧客と従業員に対する責任感は強く、「ここで私が経営を手放すことで彼らは行き場を失ってしまうのではないだろうか?」と罪悪感を覚えることすらあるのです。
これはどんなに小規模な薬局であっても変わるものではありません。
むしろ小さな薬局であるからこそ、そこに集まる人々とオーナーの間に強い絆が生まれます。
これらの強い気持ちからオーナーは「やはり店を潰してはいけない。どうにかして残さなければならない」と考えるのです。
親族・役員に譲渡することが難しい
「薬局を残さなければならない」と考えたオーナーがはじめに検討するのは、身近な人物に店を継いでもらうことです。
その際は親族、役員または従業員が候補となります。
しかし誰もが簡単に薬局を継いでくれるわけではありません。
子をはじめとした親族はそもそも「他の仕事に就きたい」と考えている場合が多く、役員や従業員は事業または株式を購入する資金を用意することができない場合が多いのです。
つまりオーナーとしては行き場のない調剤薬局を抱えたまま途方に暮れることになります。
そして、藁にもすがるような思いでM&Aという選択をするのです。
そのため多くのオーナーにとってM&Aは最後の選択肢となるのです。
しかし実際にやってみると、理解のある良い経営者に経営のバトンをタッチをすることができました。
調剤薬局のM&Aで敵対的買収がなされることはほとんどありません。
多くのオーナーが安心してあとを任せることのできる経営を見つけて、事業を譲渡しています。
調剤薬局のM&A、2パターンの流れ
ここまでM&Aに臨む調剤薬局オーナーの背景をみてきましたが、あなたと共通するものもあったのではないでしょうか。
顧客や従業員のことを考えると、経営から手を引くことに罪悪感があるのは当然です。
しかし前述したとおり、M&Aを利用することで信頼できる経営者に顧客と従業員を任せることができるのも事実なのです。
ここでは、そんな調剤薬局のM&Aについて流れを確認してみましょう。
流れには大きく以下の2つのパターンがあります。
- 仲介会社もしくは調剤薬局専門ブティックに依頼する場合
- マッチングサイトを利用する場合
上記2つのパターンで異なる部分もあるため、以下では簡単な図を用いてそれぞれの流れを解説していきます。
仲介会社もしくは専門ブティックに依頼する場合
仲介会社とは、その名のとおり「薬局を売りたいと考えるあなた」と「薬局を買いたいと考える経営者」を結びつけることを事業とする会社です。
それこそ不動産売買における仲介会社と同じ役割を果たすと考えて問題ありません。
また仲介会社の中には一つの業界におけるM&Aを専門としているものもあり、それらは「〇〇〇専門ブティック」と呼ばれることがあります。
調剤薬局専門ブティックであれば、調剤薬局のM&Aを事業としているのです。
このような仲介会社および調剤薬局専門ブティックにM&Aを依頼した場合、一般的に以下の流れで売買が進みます。
特徴は、常に仲介会社が売り手と買い手の間に入った状態で取引が進むという点です。
それこそ「トップ面談」に至るまで、それぞれの経営者が顔を合わせることもありません。
はじめのうちは資料のみでやりとりを行い、互いに適した相手か否かを見極めていくのです。
そして、それを仲介会社およびブティックがサポートしていきます。
以下では仲介会社およびブティックにM&Aを依頼した場合の3つのポイントを解説していきます。
仲介会社・ブティックの役割
仲介会社およびブティックは、M&Aに不慣れな売り手と買い手をサポートする役割を果たします。
それこそ日常的に企業買収を行っているような大企業でもない限り、経営者にとってもM&Aは初めての試みとなることが多いのです。
特に売り手の場合は、M&Aが人生に一度きりとなることがほとんどです。
しかしM&Aを成功させるためには会計、税務または法律などの分野における高度な専門知識が求められます。
仲介会社とブティックはそれらの知識をもって売り手と買い手をサポートしていくのです。
そのため仲介会社・ブティックが、売り手および買い手それぞれにつく場合もあります。
このような仲介の方法を「片手取引」と呼びます。
一方で仲介会社一社が売り手と買い手の双方をサポートすることもあり、それは「両手取引」と呼ばれます。
薬局オーナー仲介会社は必ず必要なんですか?
編集部
仲介会社のもとには「薬局を買いたい」という買い手候補からの相談も舞い込んでくるため、利用すると適切な買い手を見つけられる可能性が高くなります。
しかし昨今は後述するM&Aマッチングサイトも発達してきているため、仲介会社を用いずに相手を見つけることも可能です。
あなたの薬局の情報は段階的に開示される
M&Aにおいて、あなたの薬局の情報は段階的に開示されていきます。
はじめのうちは、あなたの名前も薬局の名前も買い手候補に開示されず、以下のような匿名性の高いA4一枚ていどのノンネームシートが用いられます。
買い手候補はこれを見て、自らのニーズに沿う譲渡案件を選んでいくのです。そして買い手候補が「この案件について詳しく知りたい」と感じたら、秘密保持契約を締結したうえで、あなたの薬局の詳細な情報が開示されます。
この段階では、法人税申告書をはじめとした詳細な資料が買い手のもとに渡り、いわばあなたの薬局事業の全貌が伝わることになるのです。
そして同時に、あなたに対しても買い手候補の情報が開示されます。そこで互いに「相手の経営者と話してみたい」と感じた場合、晴れてトップ面談が実現されるのです。
デューデリジェンスと最終合意
トップ面談や施設見学を経て、互いに事業もしくは株式の売買をする方向で話がまとまると、基本合意が締結され、より詳細な調査であるデューデリジェンスが行われます。デューデリジェンスは仲介会社・ブティック内の会計士が行うこともあれば、依頼を受けた外部の会計事務所が行うこともあります。
デューデリジェンスは買い手が購入希望価格を決める目的があるため、あなたの薬局に隠れた債務がないか、法令が遵守されているかなど、財務・税務・法務・人事などの様々な側面から調査がなされます。そして、調査結果に基づき買い手は購入希望価格を算出するのです。
そして、それを受けてあなたと買い手の間で最終的な交渉がなされ、価格に折り合いがついた段階で最終合意が締結されます。その後は仲介会社・ブティックが各種の契約書を作成し、譲渡契約の締結によってあなたの薬局が買い手に渡ることとなるのです。
マッチングサイトを利用する場合
ここまで仲介会社もしくはブティックを利用する際のM&Aについてみてきましたが、大まかな流れは理解できたでしょうか。ここでは昨今、発達してきているマッチングサイトを利用したM&Aの流れを確認していきましょう。
一般的に、仲介会社が間に入る場合よりも安価に迅速にM&Aを進めることができるのがマッチングサイトの特徴です。大まかな流れは以下のとおりです。
仲介会社もしくはブティックを利用する場合と比較して、早い段階から売り手と買い手が直にやりとりをする点が特徴的でしょう。ただしマッチングサイトによっては、初期段階ではサイトの運営が間に入ることもあります。
以下では、マッチングサイト利用時の2つのポイントを解説してきます。
マッチングサイトの特徴
マッチングサイトは近年、M&Aのニーズに応える形で急速に数を増やしています。この背景には、仲介会社の手数料が高すぎるという問題があるのです。
それこそ譲渡価格が数千万円にとどまる小規模な薬局を売却する場合、「最低仲介手数料1,000万円」のような仲介会社を利用していたのでは、売り手側のオーナーのもとにほとんどお金が残らなくなってしまいます。
こういった状況を受けて、「より安価で、より手軽にM&Aを実行」できるマッチングサイトが発達してきているのです。
売却案件が多くの買い手候補の目に触れるシステム
またマッチングサイトを利用した場合、あなたの薬局の売却案件が多くの買い手の目に触れるところにも特徴があります。
仲介会社やブティックは、「この案件に興味を示しそうだな」と感じる買い手候補にしかノンネームを提供しませんが、マッチングサイトの場合はサイト上で案件情報を検索することができるためです。
買い手の目線で考えても、仲介会社と会う時間を設けずにサイト上で希望に沿う案件の有無を調査することができる点には大きなメリットがあります。マッチングサイトには大手薬局会社が買い手として登録しており、買収案件を探しているのです。
マッチングサイト利用時は必要に応じて専門家に外注する
このようにマッチングサイトを利用した取引は仲介会社やブティックといった専門家なしに進みます。そのため「M&Aに慣れていないのに専門家なしで進めて安全なの?」という不安が生まれる場合もあるでしょう。
この点について、必要に応じて専門家に業務を外注するため、専門家の不在が問題となることは原則としてありません。それこそ契約書の作成は弁護士に外注、デューデリジェンスは会計士に外注…といった形をとるわけです。
つまり仲介会社を利用する場合は常に専門家が近くにいるのに対して、マッチングサイトを利用する場合は売り手と買い手がそれぞれ必要と判断した場合のみ専門家の助力を得ていくのです。このことも、マッチングサイトを利用した取引の方が安価に済む理由の一つです。
調剤薬局を売却するための事業譲渡と株式譲渡
ここまではM&A仲介会社やブティックを利用する場合とマッチングサイトを利用する場合の2つのM&Aの流れをみてきました。昨今は一口にM&Aといっても、多様な方法で進めることができるのですね。
どことなくM&Aの流れがイメージできたところで、ここではあなたの薬局を売却する具体的な手法について簡単に解説します。
薬局のM&Aの場合に主に用いられる手法は以下の2つです。
- 事業譲渡
- 株式譲渡
双方の違いは法律上の細かなものですが、把握しておくことでM&Aへの理解がスムーズになります。はじめに主な違いを表にまとめたのでチェックしてみましょう。
事業を譲渡 | 株式譲渡 | |
---|---|---|
取引主体 | 法人 | 株主 |
譲渡の対象 | 事業とそれに紐づく資産や人材など | 株式 |
契約 | 事業譲渡契約 | 株式譲渡契約 |
つまり | 調剤薬局事業のみを譲渡する | 会社ごと譲渡する |
図で示すと以下のような形となります。
双方の根本的な違いは、事業譲渡が特定の事業のみを譲渡するのに対して、株式譲渡は株式を売却することで実質的に会社ごと譲渡する形になる点です。そして、事業譲渡の場合は譲渡対価があなたの会社に支払われますが、株式譲渡の場合は譲渡対価があなた個人に支払われます。
このような違いのある事業譲渡と株式譲渡は、それぞれ以下のような場合に向いています。
事業譲渡が向いている場合
特定の事業のみを会社から切り離して売却する事業譲渡は、以下のような場合に向いています。
- 調剤薬局事業は採算がとれないが、他の事業はまだ自分で経営したい
- 調剤薬局事業を現金化して、会社の資金を増やしたい
- そもそも個人事業主として調剤薬局事業を営んでおり、会社を持っていない
- 譲渡対価を法人として得たい
このように事業譲渡は会社ごと売却せず、あくまで調剤薬局事業のみを売却するものです。裏を返すと、会社ごと手放したいと考える場合は株式譲渡の方が向いているのですね。
株式譲渡が向いている場合
会社ごと売却することになる株式譲渡は以下のような場合に向いています。
- 会社経営から身を引きたい
- そもそも会社で調剤薬局事業しか営んでいないため、会社ごと手放して問題ない
- 譲渡対価を個人として得たい
このように株式譲渡はあなた個人として対価を得て、会社経営から引退するような場合に用いられます。
事業譲渡と株式譲渡のいずれを用いるかについては、専門家や調剤薬局の売却経験のあるオーナーなどに相談しながら、あなたの最終的な目的に沿うかたちで決めていきましょう。
M&A後、従業員は新しい経営者のもとで再出発
さて、ここまで解説してきたところで、あなたの薬局をM&Aで売却する際の大まかな全体像がつかめてきたのではないでしょうか。M&Aは決して大企業のみが行うものではなく、調剤薬局を営んでいれば誰であっても縁のある取引なのです。
しかし、あなたの中にはまだ不安もあることでしょう。特に薬局を売却した後の従業員の処遇については気になるはずです。
そこで、ここではM&A後、あなたの会社で働いていた従業員がどうなるのかについて解説していきます。
結論から述べると、規程の多少の変更こそあれども、従業員がクビになるようなことはほとんどありません。なぜならば、買い手にとってあなたの薬局の従業員ほど欲しいものはないためです。
規程が変わるため待遇に若干の変化はあり得る
事業譲渡と株式譲渡のどちらの手法を用いる場合であっても、あなたが薬局を売却すると、薬局事業にかかわっていた従業員も買い手のもとに移動することになります。事業譲渡の場合は、従業員が所属する会社が変わります。一方で株式譲渡の場合、従業員は形式的には元の会社に所属したままですが、会社の経営者があなたから買い手に変わります。
そのため従業員が服することになる就業規則、賞与規程、休暇規程および業務遂行上のルールなどは変わる可能性があるのです。例えば、あなたのもとでは9:00~18:00だった業務時間が、10:00~19:00に変わる場合などがあります。
買い手は人材も欲しているためリストラは原則としてない
M&Aで薬局を売却する場合、従業員のリストラは最も気になる部分でしょう。しかし先ほども軽く触れたとおり、不当な理由で従業員がクビにされることはまずありません。これは買い手にとってM&Aとは「時間と人材を買うこと」だからです。
ここで買い手の目線になって、あなたの薬局を買うことについて考えてみましょう。もちろん買い手はゼロから新しい薬局店舗を立ちあげることもできます。しかし、それをせずに、わざわざあなたから薬局を買うのです。
ここには買い手側の以下の2つのニーズがあります。
- すでに地域に根づいている薬局を購入して、ゼロから店舗を育てる時間を節約したい
- 新規の人材獲得に時間とお金をかけず、すでに薬局を運営できる技能を有した人材が欲しい
これが「時間と人材を買う」ということなのです。そのため買い手が、あなたのもとで働いていた従業員を不当に扱うことはありません。むしろM&Aによる混乱に対して万全のケアを行い、新しい経営者のもとで高い能力を発揮してもらうことを望みます。
売り手側のオーナーの尽力で従業員を守る
このように買い手にとって何よりも大切な従業員ですが、M&Aによる混乱をケアするためには売り手側のオーナーであるあなたの尽力も欠かすことができません。
M&Aは原則として、最終合意に至るまで従業員には内密に進められます。なぜならば、最終的に破談になる恐れがある段階で従業員に公表してよけいな混乱を招くのは得策ではないためです。
そのため従業員の立場からすると、ある日、突然にあなたから「この薬局を〇〇〇会社に売却することになりました」と聞かされることになります。この際の衝撃の大きさは想像にかたくないでしょう。そういった売り手側の従業員の不安をケアするのは、買い手側の経営者のみならずあなたの役目でもあるのです。
そのためには、具体的に以下のような手法がとられます。
- 従業員のためにあなたができること
- 交渉の段階で従業員の給与や待遇について細かに条件を確認する
- あなたから従業員に対して、売却にいたる背景を真摯に説明する
- 最終合意後、従業員と買い手経営者が和やかに顔あわせできる場を作る
- 薬局の売却後、あなたも買い手のもとで管理職として数年働く
このようにあなたはM&Aの全工程において、従業員を守ることのできる立場にあります。信頼できる買い手か否かを見極めるのはもちろんのこと、あなたから従業員に対して、売却の背景と売却後も安心できる環境である理由を真摯に説明することは大変に重要です。
また従業員が買い手側の経営者と忌憚なく意見を交換できる場をセッティングすることも求められます。一般的には、あなたと買い手側の経営者からM&Aの内容を伝える説明会を行い、その後に懇親会をセッティングします。
さらには薬局の売却後、あなたも従業員と共に買い手会社に入社し、従業員直属の管理職として1年~3年ほど働く場合もあります。このように点ではなく、線で従業員をケアしていくことができるのはあなただけなのです。
そして、ケアが十分になされたあかつきには、従業員は新しい環境の中で以前にも増して能力を発揮して働くことができるはずです。そのためにも、あなたは自分のみならず従業員にとっても幸せな結果となるM&Aを実現しなければなりません。
調剤薬局のM&Aを成功させる3つのポイント
ここまで調剤薬局のM&Aについて長く解説してきました。従業員にとってもポジティブな結果となる可能性があるという点も含めて、M&Aの全体像をイメージできてきたでしょうか。
さいごに、調剤薬局のM&Aを成功させるためのポイントをみていきましょう。この記事全体のおさらいという意味でも重要な以下の3つです。
- 調剤薬局のM&Aを成功させる3つのポイント
- 売り手側のオーナーがM&Aの全体像を把握しておくこと
- 優れた買い手を探し続ける
- M&Aの初動としてマッチングサイトがおすすめ
では、それぞれについてみていきましょう。
オーナーがM&Aの全体像を把握しておくこと
M&Aに臨む場合、この記事で解説してきた全体の流れを売り手側のオーナーがしっかりと頭に入れておく必要があります。そうすることで、買い手に完全に主導権を握られることなく、対等の立場で取引を進めることができるためです。
ただし主導権を握ろうと、あなたの薬局についての情報を過度に後出しにするようなことは避けなければなりません。M&Aといえどもビジネス上の取引に違いはなく、売り手と買い手の間に構築される信用はとても重要だからです。
取引の全体像をつかみ、正々堂々と買い手を探していきましょう。
優れた買い手を探し続ける
M&A後の従業員の待遇の項目でも触れましたが、譲渡完了後は彼ら彼女らは新しい経営者のもとで働くこととなります。そのため信頼できる買い手を探すことは、あなたがこれまで守ってきた薬局と従業員の双方に良い結果をもたらします。
「早く薬局を売却しなければならない…」と焦り、不誠実な買い手に売ってしまうと最終的に多くの人が不幸になります。対話を重ねる中で、あなたの目で買い手を見定めていきましょう。
M&Aの初動としてマッチングサイトがおすすめ
M&Aの準備を早い時期から始めておくという点について、マッチングサイトの利用はおすすめです。それこそ売却希望案件として掲載しておくだけならば無料のところも多いため、あなたの薬局に興味を持つ買い手がどの程度いるかを知ることもできます。
実際にマッチングサイトに登録して、買い手から声がかかり「ああ、私の薬局を買いたいという会社がいるのか」とM&Aの実感を得たという売り手側のオーナーも少なくありません。また、大手薬局会社の目に触れることで想像よりも遥かに高い価格で取引がまとまったという例もあります。
これまで守ってきた薬局、従業員、そして店を訪れる顧客を任せることのできる買い手をじっくりと探すためにも、ぜひともマッチングサイトを利用してみてください。
まとめ
今回は調剤薬局のM&Aについて解説しました。ここまで長かったと思いますが、最後まで読んでくださりありがとうございます。
記事で解説したように、M&Aは調剤薬局を存続させるための一つの選択肢となります。そして薬局を存続させるということは、そこに集まった従業員と顧客を守ることなのです。
優れた買い手を見つけることができれば、あなたも含めて薬局に関わる全ての人を幸せにする取引を実現することができます。あなたもM&Aを視野に入れつつ、今後のことをじっくりと考えてみてください。
- 今回の記事のポイント
- 売り手は薬局の経営を続けることが難しい中で、従業員・顧客のためにM&Aを行うことが多い
- 仲介会社・ブティックを利用する場合と、マッチングサイトを利用する場合のM&Aの流れを確認
- 薬局を売却する際、事業だけを売るのが事業譲渡、会社ごと売るのが株式譲渡
- 買い手にとってあなたの薬局の従業員は何よりも大切であるため不当な扱いがされることはない
- マッチングサイトに登録して、優れた買い手をじっくりと探そう
いまだに敵対的買収のイメージもあるM&Aですが、調剤薬局の場合はほとんどが互いの経営者の信頼のもと友好的に行われます。そして、あなたの薬局と従業員は新しい環境で今まで以上に輝いていくのです。
あなたもぜひともマッチングサイトを覗き、売却案件として登録することからM&Aを始めてみましょう。
「日本経営研究所」は、
M&Aの総合支援を行う企業です
「プラットフォーム」✕「仲介」の
2つのサービスで、
あなたに最適なM&Aが見つかります
-
1.国内最大級の提携事業者数
-
2.安心の成功報酬型の料金設定
売り手様も買い手様も目的に沿った支援を行います
M&Aをお考えの方は、
どうぞお気軽にお問い合わせください【秘密厳守】