事業や会社を売りたい人と買いたい人をつなぐM&Aマッチングサイトの普及によりマイクロM&A市場が盛り上がりを見せています。
マイクロM&Aとは譲渡価額が1,000万円以下のM&Aと定義しますが、個人がそのような規模が 小さい会社を買う「個人M&A」が今後新しい起業の形として増えていくと考えられています。
この記事では主に個人が会社を買うという視点から個人M&Aで起業すること、経営することについて解説していきます。
個人M&Aとは?
よくニュースで目にするような何百億円以上の大規模な企業買収をするM&Aのほかにも、近年では数千万円から数十億円程度で売買されるスモールM&Aが増えてきています。
そしてここ数年で爆発的に増加したのが、数百万円から一千万円程度で売買されるマイクロM&Aです。
あくまでスモールやマイクロというのは譲渡価額の規模感をわかりやすくするための呼び方となりますが、マイクロM&AというM&Aとしては 少額の会社を買って起業する方法を「個人M&A」または「個人型M&A」と呼んでいます。
個人M&Aが増えている背景
マイクロM&Aが増えている背景には大きく3つの理由があります。
- 経営者の高齢化による承継ニーズの増加
- M&Aマッチングサイトの増加
- 買い手が個人となる事例の増加
中小企業経営者の高齢化はすでに社会的な問題となっています。
また個人事業主も60代以上が過半数を占めいるため、これから日本は大廃業時代を迎えることになります。
そのため事業を引き継いでほしい、買ってほしいというニーズが、今後ますます増加していきます。
そのニーズに呼応するかのように近年増えているのが インターネット上で事業の買い手と売り手を結びつけるM&Aマッチングサイトです。
M&Aマッチングサイトは手数料が安いところが多く、M&Aアドバイザリー業者に支払う手数料の用意がむずかしいマイクロM&Aのような案件でも利用が可能です。このため譲渡価額300万円から1,000万円あたりの小規模なM&Aで非常に活発に利用されています。
そしてM&Aマッチングサイトはいままで事業譲渡案件の情報に触れることが難しかった個人に、その機会を提供することができています。
この3つの理由から個人が会社を買う「個人M&A」が増えており、今後はいま以上に増加すると考えられています。
個人M&Aで会社や事業を買うメリットとデメリット
個人M&Aが増えていくことは、今後間違いなく起こることだと考えられますが、ゼロから起業するのではなく会社や事業を買って経営者となることのメリットやデメリットは、どのようなものがあるのでしょうか?
個人M&Aのメリット
個人M&Aの以下のようなメリットがあります。
- 設備や人材などイチから揃えていく必要がない
- すでに事業が行われているため今後の見通しが立てやすい
- 取引先や顧客もそのまま引き継げる
- 自身の強みや経験を活かして売り上げを伸ばせる
- 許認可が必要なビジネスに参入できる
どの業種で起業するかにもよりますが、たとえばタクシー会社を起こそうとすると本社施設や自動車、付随する無線などの機器類の準備やタクシードライバーの採用などを行う必要があります。
しかしタクシー会社自体を買収した場合はすでに設備と人材がそろっているため、起業と比べスタートダッシュが早く、時間が節約できるというメリットがあります。
同時に整備工場などの取引先や、定期で使ってくれる顧客なども引き継げるためゼロから開拓する必要がなく、ある程度今後の売上予測などの見通しが立ちやすいこともメリットのひとつです。
またタクシー業界は規制が厳しくなっているため、新規参入する場合は40台以上の規模でなれば許可を取るための申請すら出来ず、それをクリアしたとしても許可がおりるかはわかりません。以前は10台からタクシー会社設立ができたため、タクシー業界に参入するためにはタクシー会社を買って許認可を受け継ぐほうが簡単という状況になっています。
このように 許認可が必要なビジネスを買って経営できるのも個人M&Aのメリットの1つになります。
さらに自身のこれまでのビジネス経験や強みを活かせる可能性もあります。
1人で起業した場合は、事務所の選定や人材募集、面接、新規取引先の開拓、資金調達の工面や経理などあらゆることを行う必要があります。
しかし経理や事務処理が苦手だが、マーケティングが得意という人なら、経理や事務を最初から既存の社員に任せてしまい、自分はホームページを刷新してインターネットから予約する顧客を増やしたり、ビジネスマン向けにwifi利用できるタクシーと銘打ち、通勤や打ち合わせなどで定期利用する法人顧客を獲得するなどが考えられます。
自身の強みを会社の業績アップに集中させることができるのも個人M&Aならではメリットと言えます。
個人M&Aのデメリット
個人M&Aにはデメリットもありますが、どのようなものか見ていきましょう。
- 従業員が新しいオーナーを受け入れないことも
- 事前に想定したような経営ができない可能性
- 簿外債務が発覚するなどのトラブルの可能性
- 自身の強みや経験が活かせない可能性
- 買収金額以上の資金投入が必要になる可能性
買収してオーナーとなったとしても、買収先の従業員が新しいオーナーをすんなりと受け入れてくれないこともあります。
たとえば現オーナーが高齢を理由に会社を売りに出した場合では、いままでのオーナーで問題なく経営されていたこともあり、新しいオーナーに対して不安や不信感を持つことも多いのです。
またとくに大企業の中間管理職出身で中小企業の経営者になられる方に多いのが、買収した会社の従業員へのマネジメントがうまくいかず思うような経営ができないということです。
中小企業では大企業とは違い一定以上の知識や技術、モチベーションを持つ人ばかりを採用できているわけではありませんので、大企業と同じようなマネジメントをしていると従業員との溝ばかり広がり経営が悪化してしまうこともあります。
社内向けのマネジメントだけではなく、自身の強みを活かせると思って経営してみるとまったくその知識や経験は活かされなかったということもあります。
これもとくに大企業出身の方に多いのですが、その知識や経験は大企業の予算規模や人員、ネームバリューがあって初めて活きるものであり、中小企業の経営に活かすことができないということもあります。
このような状況下で想定していたような経営ができず、売り上げも維持できなくなったという場合には、自己資金や金融機関などからの新規借り入れを行う必要があり、買収金額以上の資金の投入を行うことにもつながります。
さらに買収検討時にはわからなかった簿外債務などが発覚した場合には手痛い出費が待っています。
ここで挙げた個人M&Aのデメリットは回避する方法はありますが、会社を買って経営することにはこのようなデメリットがあることも頭の隅に置いておくことが大切です。
個人M&Aでの起業とゼロから起業することの違い
会社を買わずとも自分で新しく会社を作り経営すれば良いじゃないかという意見もあります。
もちろんゼロから起業することが向いている人も多くいますが、 起業から5年後の生存率が15%と言われている通り起業してから生き残るということは非常に大変です。
ここでは個人M&Aで会社や事業を買って起業することと、ゼロから起業することの違いを解説していきます。
製品やサービスがすでに市場に受け入れられている
起業から1年ほどで会社をつぶすことになる原因として多いのが、提供する商品やサービスが想定していたよりも需要が少なかったというものです。
起業や独立して長続きするパターンのひとつは、前職と同じ業種で同じようなサービスや商品を提供することです。
とくに新規事業の場合はそれが市場に受け入れられるかが最も重要なのですが、すでに受け入れている商品やサービスで起業すれば人材採用や資金繰りなどに注力することができ、起業初期の経営負担を減らすことにつながり会社が生き延びやすくなります。
しかし起業しようとする人は一般的に好奇心旺盛度で情報感度も高い場合が多いため、せっかく起業したのだからとオリジナリティを発揮した商品やサービスを始めてしまうことがあります。
その結果、商品やサービスへのニーズが想定したより少ないことが判明し、売上が立たず会社をつぶしてしまうこともあります。
個人M&Aでは、すでに一定のニーズを満たしている事業を買うことができればこのような失敗につながるリスクを減らすことができます。
事業がよりニーズが増すように改良していく、10を15や20に伸ばしていく方法が得意な人には個人M&Aという起業スタイルが向いていると言えます。
自分の成長や器に関係なく事業が進んでしまう
個人M&Aで事業や会社を承継した場合、その事業や会社と自身の成長や器が追い付かない、足りないということもありえます。
ゼロから起業するのであれば1人ですべて回していくところからはじめ、徐々に人を増やし店舗や設備を増やしたりと扱う資金や人員の増加と自身の成長と比例していきます。
しかし個人M&Aの場合にはそういった起業初期の経験がないため、とくにサラリーマンの経験しかない場合にはそのギャップを埋められないまま事業だけが進んでいくこともあるでしょう。
買収直後は以前のオーナーのやり方をそのまま続けていけばしばらくの間は売り上げは維持できるかもしれません。
その間に自身を成長させることができるのかが、買収後の成否を分けることにつながります。
黒字企業であれば買った直後から収益がある
起業する場合は自身の当面の生活費や事業資金を貯めてから起業することが多いと思いますが、それでも起業直後は出ていくお金ばかりが増えていき目減りしていく残高を眺めながら胃が痛くなるような思いをする時期もあります。
しかし 黒字企業を買うことができれば、買った直後から収益が発生している状態であるため心理的に楽だと感じる人も多いのではないでしょうか。
個人M&Aができる売り案件を探す方法
個人が会社や事業を買う方法は色々ありますが、最近に普及してきた会社売買をインターネット上で行えるM&Aマッチングサイトで探す方法をおすすめしています。
M&Aマッチングサイトでの探し方
M&Aマッチングサイトはサイトやアプリの売買に特化したサイトM&Aマッチングサイトなどを含めれば大小合わせて30サイト以上存在します。
それらの中でも 個人M&Aに適したサイトとしておすすめなのが「スピードM&A(SPEED M&A)」です。
スピードM&Aは国内最大級の規模を誇るM&Aマッチングサイトであり、マイクロM&A案件も豊富です。
また売り手側と直接連絡が取ることができるため、買収先の選定が素早く行えることが特徴です。
買い手として登録しておけば新着案件がメールで通知されるため、希望の条件に合った売り案件が出たときにすぐに対応できるように登録してみてはいかがでしょうか。
M&Aマッチングサイト以外での探し方
個人M&Aでは売り案件を探す方法は限られるのですが、M&Aマッチングサイト以外で探す方法もありますのでご紹介します。
M&A仲介会社に相談する
個人M&Aを推奨する書籍等では売り手と買い手をマッチングさせる専門会社であるM&A仲介会社に相談して売り案件を探す方法が紹介されています。
しかしM&A仲介会社が個人の買い手を取引相手にすることはほとんどありません。
資産が何十億円とある場合は別ですが、仲介会社からするとM&Aの商習慣に慣れておらず、法人と比べて資金力も乏しい個人を相手に取引をすることは手間がかかるということがその理由となります。
また仲介会社の場合は手数料の最低金額を設定している場合も多く、安くても300万円〜、相場的には500万円程度でしょうか。
上場している仲介会社の場合は最低2,000万円以上が成約時の最低手数料となります。
そのため例えば譲渡金額1,000万円の会社を仲介会社から買うとすると手数料込みで合計1,500万円となり買収金額が大幅に上がってしまいます。
マイクロM&Aや個人M&Aでは仲介会社を利用することは現実的ではありません。
友人知人を通じて探す
M&Aマッチングサイトが普及する前は、個人が売り案件を探す方法と言えば、知人のツテを辿って会社や事業を売りたい人を探すことが普通でした。
親族で会社を継いでくれる人がおらず後継者問題で悩むオーナー経営者を紹介してもらい買収交渉するというものです。
知人からの紹介であれば互いの身分を保証してくれる人がいるため話が進みやすいという側面もあります。
しかし希望の条件に合った売り案件を探すとなると知人のツテをたどるだけでは厳しく、個人M&Aの成功には運の要素が強すぎるでしょう。
まとめ
個人M&Aについて解説していきました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事で解説したとおり個人M&Aは社会的背景やM&Aマッチングサイトの普及により今後も増加していきます。
また個人M&Aは優れている起業方法のひとつでもあります。
しかし個人M&Aを成功させるためには、良い売り案件を探す努力と良い案件に出会える運も必要になります。
それは簡単なものではありませんが、ぜひ個人M&Aの成功に向けてまずはM&Aマッチングサイトの登録から始めてみましょう。
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