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M&Aコラム

COLUMN

会社や事業を高く売るには?~売却や事業譲渡でビジネスを整理する方法~

経営者は常に、ビジネスをいかに効率化し、高い収益を上げていくかに頭を悩ませていることでしょう。
赤字や不採算事業があれば、それをできるだけ早く解消しなければなりません。
しかし、リストラを断行して人員を整理したり、事業を廃止したりすると、それまで培ってきたノウハウや優秀な人材を手放すことにもなりかねません。

そこで検討したいのがM&Aです。
業績のかんばしくない事業が本来持っていた強みを引き出して会社の評価を高め、高値で売却することができれば、その事業は存続させられます。
そこで、M&Aで会社の売却や事業譲渡を成功させるポイントについてご紹介します。

ビジネスを整理して次のステップへ

会社経営に際してよく使われる言葉に、「選択と集中」があります。
競合他社にはない自社の強みに特化して注力し、先行きの不安な事業をリストラします。
それによって生産性を高め、会社経営をより強固にしていくことができます。

会社経営において、高い志を持って始めた会社や事業は、なかなか捨てられるものではありません。
それをあえてリストラするには、納得のいく落としどころを見つけなければなりません。

つまり、不採算事業をシビアに整理する感覚が、経営者に求められるのです。

不採算事業を整理してビジネスをリノベーション

不採算事業の整理には、事業単位で譲渡するか、会社分割によって強い事業と不採算事業の会社に分けるかといった2つの方法があります。
強い事業のみの会社は売却しやすくなります。

また、後継者も見つかりやすくなり、株式を後継者個人に売却することで「オーナー」として会社を引き継いでもらうことができます。

不採算事業を残した会社でも、その業界・業者に参入したいと考えている他社から見れば魅力的で、売却できる可能性もあります。
売却することは債権者に迷惑をかける選択ですが、将来を見据えて確実に継続できる事業が別会社として存続するため、廃業によって失業者を出したり、地域経済への悪影響を抑えたりすることができます。
その選択は、債権者にとってもすべてを失うより良い結果となりうるのです。

会社・事業の売却に伴うメリットとデメリット

会社や事業を売却することは、決してネガティブな施策ではなく、懸念していた問題の解決手段となったり、新しいチャレンジを後押しする原動力になったりもします。
そこで、会社や事業の売却に伴うメリットとデメリットについて整理してみましょう。

会社・事業の売却に伴うメリット

会社や事業を売却することのメリットはいろいろあります。
不採算事業を整理すること自体は、ただ不安を取り除いただけです。

具体的に、会社や事業をうまく売却することによって得られるメリットには、以下のようなものがあります。

・株主の収入になる

会社の売却は、株式を売却することで実行されます。
そのため、経営者や役員など会社の株式を保有している関係者にとっては、個人の収入になります。

・雇用と事業を守れる

後継者がいないなどの理由で廃業すると、従業員を失業させ、取引先に対しても迷惑をかけてしまうことになります。
そうしたリスクを回避することができます。

・個人保証の不安が消える

中小企業では、金融機関から融資を受ける際に経営者の連帯保証を求められることがあります。
個人保証は後継者に嫌がられるため、事業承継の妨げになる理由のひとつでもあります。
一般的には、会社を売却(株式譲渡)することで経営者個人に課せられた債務の返済保証が解除され、経営者は個人保証の重責から解放されます。

・投資家やシリアルアントレプレナーとして活躍できる

オーナー経営者であれば、株式の売却によって得た資金で若い起業家を支援する投資家になったり、新しいビジネスに挑戦し続ける生き方を選べたりするようになります。

会社・事業の売却に伴うデメリット

会社・事業の売却にあたっては、デメリットもあります。
次のような点に注意しておく必要があります。

・適切な売却方法を選択する

売却において、最も注意を払うべき点は、適切な売却方法を選ぶことです。
会社ごと売却するのが目的なのに事業譲渡の形態をとると、余計な手続きが増えたり、税制上の不利益を被ったりする可能性があります。
売却の目的などによって最善の方法をとる必要がありますが、中小企業における事業承継の場合は、まず株式譲渡を検討することが一般的です。

・売却の価格とタイミングを見計らう

業績が好調なときに買い手を見つけることで、高値で売却できる可能性が高まります。
一方、業績が悪化しているときでは、思ったような価格を提示する買い手が見つかりにくいものです。
いずれにせよ、希望するよりも安い価格を提示された場合を想定し、妥協できるラインをあらかじめ決めておくと、交渉がしやすくなります。

・売却後の従業員と経営陣の処遇を確認する

従業員の雇用の確保は、事業承継を目指す際の大きな目的です。
会社売却後も同等以上の待遇で雇用が継続されることを確認しておきます。

また、経営陣についても、引き続き指揮をとるよう求められているのか、経営からは離れるのかといった立ち位置を、自身の希望と合わせて話し合っておきます。
通常は、新しい経営陣に引き継ぐために数年間の関与が必要になります。年齢的な問題で事業承継を検討している場合には、早めに動き出すことが大切です。

また、新しく起業したいと考えているのなら、拘束されない携わり方や、競業避止義務に抵触しないかを相談しておくことが必要です。

どちらが高く売れる?会社の売却と事業譲渡の違い

会社ごと売却するのと事業譲渡では、売却金額や手続きにどのような違いがあるのでしょうか?
また、売却で発生する税金にも考慮が必要です。売却に関するマネー対策について、確認しておきましょう。

会社売却のほうが高く売れる?

会社を売却する場合、一般的には人もいっしょに移動します。
事業売却の場合には、従業員の転籍が必要になり、売り手が人材を手放したくないといった事情などもあり、人の移動が限定的なことも少なくありません。
ビジネスは人に依存することが多く、事業を動かしてきた人材がいなくなるのは、買い手にとって大きな不安要素です。
そのため、会社売却のほうが、売却額が高くなることが一般的です。

税金は会社売却のほうが安い?

会社の売却とは、すなわち株式を譲渡することです。
株式譲渡と事業譲渡では、取引の形態や譲渡益を受け取る主体が異なるため、納める税金も異なってきます。
節税という観点から考えれば、有利なのは一般的に株式譲渡となります。
株式譲渡の場合、譲渡益は消費税の対象とはならず、譲渡益に対して20%の税金(所得税15%+住民税5%)が課せられます。
その課税額は、以下のとおりです。

・株式譲渡に課せられる税金

(売却代金-必要経費{取得費+譲渡費用})×20%(所得税15%+住民税5%)

例えば、資本金1,000万円を負担して起業した会社を1億円で売却し、譲渡に100万円を要した場合は、以下のようになります。

(1億円-{1,000万円+100万円})×20%=1,780万円

なお、復興特別所得税が加算されているあいだは税率が20.315%となり、ケースや税制改正によって税額が異なる場合もあります。
税理士などの専門家に相談しましょう。

事業譲渡の場合は、会社が所有する資産の一部を譲渡することになります。
そのため、法人税と消費税が会社に対して課せられます。
この場合の法人税はおよそ40%ですが、法人税に関わる譲渡益は他の損益と通算可能なため、圧縮することもできます。

DD(デューデリジェンス)は事業売却のほうが簡易的

会社売却と事業譲渡では、DD(デューデリジェンス)にも差があります。
DDとは、買い手が売り手の会社や事業を詳細に調査することです。
財務状況のほか、法務や労務、事業内容など、会社の状態を隅々まで調べ、偶発債務など思わぬリスクがないかを明らかにします。
一般的には売り手と買い手の両者間で基本合意契約を交わした後に行われ、売り手が協力して円満なM&Aを目指します。
買い手はDDの結果を基にして、いくらで買い取るかを決めます。
会社売却では企業を丸ごとチェックする必要がありますが、事業売却では対象となる事業のみの収益や将来性、実際に事業を引き継げるのかといった限定的な内容となるため、比較的簡易にDDが行われます。

会社を高く売るための3つの条件

それでは、「M&Aでどうしたら会社が高く売れる」のか、買い手の立場で考えてみましょう。
買いたいと思わせる魅力的な会社とは、「M&Aによって利益が上がる会社」です。
具体的には、以下のような条件があれば、高く売れる会社ということになります。
反対に、このような強みや買い手にとってのメリットがないと、低い評価になってしまいます。

1 安定した事業基盤

買い手は、すでに利益が出ていて当面は損をするリスクが低い会社、すなわち事業基盤が安定していて将来性がある会社を選びます。

  • 変動要素が少なく、顧客も安定していて毎年コンスタントに売上が見込める
  • 代替となるサービスや商品の競合が少なく、顧客を他社に奪われる可能性が低い
  • 特定エリアで高いシェアを誇るなどの強みを持っている
  • 事業を行っている市場が、数年先まで安定的に存続すると見通せる
  • 参入障壁の高いビジネスであり、競争を優位に進められる
  • 買い手と同じ業界であれば、共通化やスケールメリットの実現で、コスト削減などシナジー効果を生み出せる

2 魅力的な顧客や手に入りにくい強みを持っている

現在は、赤字であるなどのリスクを含んでいても、それよりも将来に大きく躍進して収益を上げられそうな会社には、買い手は魅力を感じます。
技術力など自社の強みを持っているだけでなく、魅力的な顧客(取引先)との良好な関係を維持している会社が、将来的なポテンシャルのある会社といえます。

  • 継続してリーチできる顧客を多く持っている
  • 優れたサービスや高い技術力を持つ取引先がある
  • 買い手が手掛けるサービスや商品と相性が合う顧客を持っている
  • 大手企業や特定の消費者など、買い手が接点を持っていない顧客を持っている
  • 独自のノウハウや技術、それを体得した人材を持っている
  • 専門職など、得がたい人材を多数擁している

3 信頼できる社長・オーナーと健全な法務・財務状況

外から会社を見ると順調に好業績を上げているようでも、その内実が粗雑であったり見かけを良くするため、粉飾に手を染めていたりということは、情報開示されている上場企業であっても見抜けないことがあります。
M&Aの後になってから問題が発覚しないように、買い手は「信用できる会社」であるかを精査します。
会社の信用度を見極める判断材料は、「信頼できる社長・オーナー」であるかどうかです。特にオーナー企業であれば、その会社や事業を手掛けてきた本人の姿勢が、経営に色濃く反映されていると考えられます。
放漫経営やコンプライアンス上の問題を疑われることがないよう、常に誠実な経営を心掛けている会社は高く売れるといえるでしょう。

会社・事業の売却を成功させるポイントは?

会社売却で絶対に必要なのは、買い手です。
より良い条件で買いたいと名乗り出る企業を見つけるには、条件を明示できるように準備した上で、タイミングを見極めることが重要です。
そのためには、財務状況や収益構造のほか、自社の強みと弱みを正確に把握し、アピールする必要があります。

ただし、会社の魅力を客観的にとらえ、良い買い手を見つける準備を限られた人材で行うことは難しいため、会計や法律、ビジネスなどのプロフェッショナルに力を借りることも検討しましょう。「いずれ、そのうち」では、なかなかM&Aは前に進みません。
また、どんなに魅力的な会社であったとしても、売却の意思が認知されていなければ、いつまでも買い手は見つかりません。

マッチングサイトの利用なら高く買ってもらえる?

M&Aの成否は相手探しにかかっています。
買い手探しの方法には、大きく2つに分けられます。

1つは、売り手に対してより良い条件を提示した、買い手とのM&Aを行う「オークション方式」です。
この方法では譲渡額が高額になることが期待できますが、特に中小企業の場合ではそもそも買い手がつかない可能性が高いことも実情です。

これに対して、会社名は伏せた状態で互いを探すのが「マッチング方式」で、中小企業のM&Aが成功しやすい手法です。
マッチングは仲介アドバイザーに依頼する方法もありますが、限られた人員で行っており、能力や思惑によって可能性が制限される懸念があります。

そこで、近年一般的になってきているのが、マッチングサイトを利用した方法です。
売り手として情報を登録しておけば、M&Aを検討している多くの買い手の目につきやすく、仲介業者にはない当事者の視点で評価され、高値を提示される可能性があります。

また、ダイレクトなコンタクトも可能なので、アドバイザーを介すよりもスピード感があり、手数料を大幅にカットできることも魅力です。

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